【inzm】雷門の天使様２ (ページ48)

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　野生中のスローインで試合が再開する。ドリブルで上がる香芽の前に立ちはだかったのは、DFに入ったばかりの土門だ。

｢いっちょやりますか……"キラースライド"！｣
｢！？｣
｢やるじゃん、あいつ！｣

｢なんと土門、ボールを奪った！｣

　早速必殺技でボールを奪う活躍を見せる土門。先程までディフェンス陣の誰も止められなかった野生中の猛攻を食い止めるとは、中々の実力である。

｢お手並み、拝見！｣

土門がゴール前にボールを上げた。

｢行くぞ、壁山！｣
｢は、はい！｣

　豪炎寺の声に壁山が答え、二人は"イナズマ落とし"の体勢に入る。しかし、鶏井がすぐ後ろで豪炎寺の高さを軽々跳び越えた。やはり、もう一段階高度を上げなければならない。
　しかし高所を怖がる壁山との息が合わず、必殺技は失敗。怪我をしそうでハラハラしていたが、豪炎寺が器用に着地したのでAは胸を撫で下ろす。複数人で行う連携必殺技は強力になりやすいが、その分失敗した時の危険が常に付き纏うもの。壁山にはなるべく早く高所恐怖症を克服してもらいたいところだ。

　そこで野生中の監督･他山がまた雄叫びを上げた。なにかの合図だったのか、それを皮切りに野生中イレブンが圧倒的なスピードで攻め込んでいく。"モンキーターン"や"ターザンキック"など、身体能力の高さを活かしたプレーや必殺技の数々に、雷門イレブンはボールを触ることもできない。

　チャンスが巡って豪炎寺と壁山が跳んでも、壁山はやはり高所を恐れて"イナズマ落とし"は不発に終わった。

　野生中のシュートの嵐ともいえる状況に、円堂は辛うじて無失点を保ってはいるものの、そろそろ彼の手も限界だろう。
　ここで、前半終了のホイッスルが鳴る。ハーフタイムだ。

　終始相手にペースを握られていたことが重く伸し掛るが、今は兎に角前半での疲労を少しでも回復させなければ。

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