【inzm】雷門の天使様２ (ページ47)

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｢再び雷門中の攻撃だ！｣

　ボールが風丸から豪炎寺に渡るものの、野生中の三人がチェックに入る。桁違いの素早さで囲まれた。

｢隙がない……！｣
｢豪炎寺！｣

　豪炎寺から染岡へのパスが通り、今度は"ドラゴンクラッシュ"を打とうとする。しかし、相手DFの強烈なタックルに吹っ飛ばされた。

｢染岡！｣

　勢いよく木製の柵にぶつかった染岡が蹲って動かない。秋が急いで救急箱を持って駆けつける。

｢……足首を捻ってる、試合は無理だわ｣
｢選手交代しかないか……｣

　円堂がベンチを見遣ると、目金が焦ったように土門に目を向けた。

｢ど、土門くん、君にチャンスを譲ってやるよ。決してビビってるわけじゃないからね｣
｢チャンスねぇ……｣

｢土門はDFだよね。じゃあ"イナズマ落とし"の壁山をFWにして、土門には壁山の位置に入ってもらうのがいいかな。そろそろ点取らなきゃだし｣

　Aの言葉に円堂と豪炎寺が頷く。その後、彼女は悔しげな表情の染岡の前にしゃがみ込んだ。

｢染岡、しっかり休んでて。次の試合までには治してもらわなきゃ困るんだから。雷門の点取り屋！｣
｢わぁってるよ｣

　いちマネージャーであるAの指示を素直に聞くキャプテンとエースストライカー、そして彼女の言葉一つで眉間の皺が取れ、気が抜けた様子の染岡に、土門が些か驚いた素振りを見せる。鶴の一声の如く、言葉で皆を導くマネージャー。

｢Aちゃんって、なんというか監督みたいだな｣
｢マネージャーです〜。土門も、ディフェンス頼んだよ｣
｢はいよ、天使様！｣

　転入生の土門にまで広がった謎の天使呼びに、Aは内心頭を抱えるが、今は呼び名よりも試合が大事だ。皆がポジションに戻っていく中、軽い準備運動をした土門が呟く。

｢Aちゃんに呼ばれると、気合い入るんだよなぁ。あいつらはいつもこんな気持ちなのか｣
｢そう？｣
｢あ、聞こえてた？｣
｢ばっちり｣

　周囲に聞こえない程度の声量のつもりだったのに、まさかの本人に届いていて少々慄いた。天使様なのに地獄耳なのか。究極の矛盾である。

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