【inzm】雷門の天使様２ (ページ42)

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　壁山の高所恐怖症を何とか克服するために、円堂たちは様々な解決策を出しては実行する。はじめに水泳部に頭を下げて、彼らが使っている雷門中の敷地内にあるプールの飛び込み台に壁山を立たせた。下が水なので、地面に落ちるよりも怪我の心配は少ない。
　円堂曰く初心者用の高さとのことだが、壁山は怯えきって後退り、その拍子に滑って水面に落っこちる。彼の体格により巻き上げられた水でずぶ濡れになった円堂。しかし彼はまだ諦めない。

　今度は子どもたちが遊んでいる公園に向かった。滑り台の上に壁山を乗せてみるものの、自身の身長ほどの高さですら恐怖の対象らしい。ジャングルジムもまともに登れなかった。

　部室に戻って来てからは、用意した金属製のボックスを積み上げて、少しずつ高さに慣らしていく。メジャーを持つのは目金だ。

｢80センチ、クリアだね｣
｢よし、次は1メートルだ！壁山、努力と根性と気合いだ！それがあれば何だって克服できる！｣
｢それなら、キャプテンの成績は学年トップのはずっス｣
｢壁山、円堂の努力と根性と気合いはサッカーに全振りされてるから無理だよ｣

　壁山からはごもっともな正論を、Aからは褒めているのか貶しているのか分からない断言を叩きつけられ、円堂が落ち込んだ。

｢野生中との試合には、"イナズマ落とし"が無ければ勝てないんだ。壁山、お前にかかってるんだぞ｣
｢そんなこと言われても……｣

　風丸の励ましに、壁山は俯く。そこで、早くも落ち込みからの回復を果たした円堂が壁山と目線を合わせた。

｢壁山だけにつらい思いはさせないって｣
｢キャプテン……｣
｢敵が強いなら、俺たちはもっと強くなればいい！｣
｢ああ。俺たちも特訓して、一人一人がレベルアップするんだ！｣

　風丸の喝入れに部員たちが声を揃えて応える。自分をサポートし、皆の力で勝とうとする仲間の姿に、壁山も気合いを入れ直したようだ。

｢俺、もう少し頑張ってみるっス！｣

　すると、壁山の全体重を支えていたボックスがひしゃげて崩れ落ちた。

｢ねえ、タイミング悪すぎない？｣
｢みなまで言うな｣

　空気の読めないボックスに言及したAが豪炎寺からのデコピン制裁を受ける。地味に痛かった。

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