【inzm】雷門の天使様２ (ページ35)

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　染岡曰く敵のスゴ技を受ける特訓により、迫り来るタイヤに吹き飛ばされる部員たち……を｢あれで怪我しないんだ〜｣などと興味深そうに眺めているAを横目に、豪炎寺は円堂に話しかける。

｢円堂、ちょっといいか。さっきの秘伝書のことだが……｣

　豪炎寺は木の枝を持って地面に何やら図を描き始めた。

｢あれって、こういうことじゃないかな。まず一人が跳ぶ。もう一人がそいつを踏み台にして、さらに高さを稼ぐ。十分な高さに達したところで、オーバーヘッドキック。どうだろう｣
｢豪炎寺……｣

　円堂の方を振り向くと、キラキラと目を輝かせて豪炎寺を見ていた。下手すれば子犬の耳やしっぽが見えそうなほどに。

｢そうだよ、多分その通りだよ……すごいなお前……！そんな不安定な足場からオーバーヘッドキックを出せるのは、豪炎寺！お前しかいない！｣
｢俺が……？｣

　はっきり指し示しながらの円堂の断言に豪炎寺は問い返すが、Aとしても今の雷門サッカー部にそんな芸当ができるのは、割と器用な豪炎寺しかいないと思う。

｢修也ならできるよ、絶対｣
｢そうそう。そして、お前の踏み台になれる奴は……｣

　特訓中の部員たちの方を向いた円堂が、タイヤに吹き飛ばされる壁山に目を留めた。

｢壁山かぁ！｣
｢壁山の体格なら、空中での安定感もそれなりに期待できそうだね｣
｢だろ？よし！｣

　Aの共感を得られた円堂が、何かを思いついたように壁山に話しかけに行く。恐らくは敵のスゴ技を受ける特訓から豪炎寺の踏み台になるための特訓に切り替えるのだろう。

｢必殺技を作る特訓……結構久しぶりじゃない？修也｣
｢そうだな｣
｢あんまり無茶はしないようにね｣
｢……｣
｢ちょっと、返事がないと怖いんだけど｣
｢悪い｣
｢謝られるともっと怖い……！｣
｢無茶ならお前だってするだろ｣

　恐らくはAの言うことを守らないだろう豪炎寺の開き直った様子に、顔を引き攣らせる。しかし、自分の日頃の行いを逆手に取られたので、それ以上は何も言えなかった。

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試験期間が終了したので明日から1日3話更新に戻ります‪𓂃 𓈒𓏸