【inzm】雷門の天使様２ (ページ26)

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　次の日もその次の日も、必殺技を作るための特訓は続いた。河川敷で皆が思い思いにボールを蹴っている。栗松と少林が新必殺技"ジャンピングサンダー"を試そうとして失敗し、少林が縦方向に180度開脚するハプニングや、サッカーボールを何故か髪の毛の中に入れた宍戸のアフロの毛量が倍になっていたりなど、中々衝撃的だ。
　あまりに拙い特訓に秋は呆れ顔をし、春奈は欠伸をし、Aに至っては最早楽しそうに眺めていた。

｢面白いことするよね、みんな｣
｢面白さで試合には勝てないんだけどね……｣

　にこにこ笑ってご機嫌なAに、秋がため息混じりに答える。

｢必殺技を作るのに一番効果的なことってなんだと思う？｣
｢効果的なこと……？イメージかしら｣
｢それは必須条件。イメージがないと必殺技はできないからね｣
｢じゃあ、うーん……｣

　考え込む秋と春奈に、Aがあっさり答えを出した。

｢正解は、既に完成品があること｣
｢つまり、コピーということですか？｣
｢そうそう。ゼロから形が無いものを作っていくのは、短時間では厳しいこともあるから。円堂の"ゴッドハンド"も、お祖父さんの特訓ノートに元々書いてあった技でしょう｣
｢たしかに！｣
｢だったら、Aの"月読(ツクヨミ)のテンペスト"をコピーするのはどう？それなりに高さがあったと思うけど……｣

　円堂に何度か打っている姿を見ていた秋が提案する。しかし、Aは首を横に振った。

｢あの技は向かい風で威力が低くなるから、試合には向かない｣
｢そうなの！？｣
｢うん。その代わり追い風が吹いてる中思いきり蹴ったら、味方も相手も全員吹っ飛ぶほど強くなるんだけど……｣
｢極端ですね……｣
｢それも問題点。調節が割と面倒くさいんだよね〜｣

　そもそも、シュートというのは前に向かって蹴るもので、真っ直ぐ蹴ったシュートが一番威力を発揮する。間違えても今回のように、高度を中心に考えるものでは無い。だから、イメージするのすら難しい。

｢初っ端から過酷だなぁ。まるで漫画みたい｣

　あながち間違っていないことを呟き、Aは遠くを見た。

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