【inzm】雷門の天使様２ (ページ3)

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　雷門中の敷地内のグラウンドはいつも通り使えなかったので、また河川敷で練習することにした。
　新入りの春奈にマネージャーの仕事を教えつつ、準備をする。Aもそれなりにマネージャー初心者だが、こんなに早く誰かに教える立場になるとは思わなかった。サッカー部を支える仲間が増えて、秋もどことなく嬉しそうだ。

　部員たちと共に河川敷に辿り着くと、既に染岡が昨日話した必殺技を習得しようと練習を始めていた。

　雰囲気は違うものの、帝国戦前に円堂のゴッドハンドの兆候が見えた時と同じようなオーラを感じる。本人は納得していないようだが、Aは昨日の今日でここまで出来るようになったことに感心した。やはりパワーで押し切ることにして正解だったようだ。

｢染岡、頑張ってるな！｣
｢円堂……上手くいかねえよ。なんかいけそうなのに、全然ゴールが決まらねえ……｣

　ストライカー失格だと自虐的に笑う染岡。せっかく形が見え始めているのに、後ろ向きになっていては決まるシュートも決まらない。ここは我らがキャプテン円堂の出番だろう。

｢染岡、ちょっと休憩しておいで。根を詰めても捗らないでしょう｣
｢は？俺は……｣
｢円堂、染岡がちゃんと休んでるか見張ってて｣
｢わかった！｣
｢円堂！｣

　Aの指示に忠実に頷く円堂。染岡の叫びは完全無視で、ドリンクを取りに彼を引っ張っていった。あっちはあっちで何とかしてもらおう。
　それから……

｢風丸、暫くみんなをお願いしていい？｣
｢！ああ、わかった。みんなランニング行くぞ！｣

　Aが何を言いたいのか即座に理解した風丸は、染岡の見張りをする円堂に代わって部員たちを統率する。二人を除いた全員がランニングを始め、円堂と染岡がきちんと休憩しているのを確かめてから、秋と春奈がいるベンチに戻ってきた。

｢A｣
｢なあに？｣
｢なんだか、監督みたいね！｣
｢えー昨日も染岡に同じようなこと言われたんだけど……｣
｢A先輩、みんなに指示を出す姿とってもかっこよかったです！｣
｢大袈裟だなぁ｣

　秋と春奈に心做しかきらきらと輝く視線を向けられ、Aが苦笑いで返す。

｢本当は、そういう役目の選手かコーチが居てくれたら助かるんだけどね。わたしは見えていることしか分からないし、感覚での話しかできないから｣

　まあ、十一人揃って試合が出来るようになっただけでも、これまでよりはマシな状況だ。

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祝50話໒꒱· ﾟ