【inzm】雷門の天使様２ (ページ14)

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　点を返されたあと、豪炎寺を押し退けた染岡がシュートを放つが、鉈の必殺技"ゆがむ空間"によって止められてしまった。そのまま尾刈斗中はカウンター攻撃に転じ、雷門はまた失点する。
　"ゴーストロック"で雷門の動きを止めた尾刈斗中の猛攻は止まらない。あっという間にもう一点取られ、2対3と差をつけられた。雷門はそのまま何も出来ず、前半を終える。

　ハーフタイム中部室に集まった雷門イレブンからは、試合中思うように動けなかったことで、怯えと苛立ちが見て取れた。

｢くそ、どうなってるんだ……｣
｢急に足が動かなくなるなんて……｣

　風丸、半田が口々に言ったことは、今の部員全員が少なからず思っていることであろう。何故足が動かないか分からない。動かないから苛々する。分からないから恐ろしい。この心理状態で後半戦に挑めば、先程より酷い状況に陥るのは明白だ。
　逃げ出そうとする壁山を風丸と宍戸が二人がかりで止めているのを横目に、豪炎寺に歩み寄った。何か難しそうに考え込んでいる彼は、Aを視界に入れると微かに表情を緩める。

｢あの"ゴーストロック"を破るのは中々骨が折れそうだね｣
｢……ああ｣
｢試合の流れがおかしくなり始めたのは、向こうの監督が呪文みたいなことを呟き出してからだった｣
｢あの監督の行動に秘密がありそうだな。それに……｣
｢他に気になることでもあった？｣
｢いや、少しな。それはこっちで何とかするよ｣
｢……うん｣

　サッカーに無関係な何かが働いているような違和感。生憎Aは司令塔でも頭脳派でもないから、細かいことは分からずじまいだ。こちらの監督のはずの冬海がチームに見向きもしない無能な上、雷門にはあっさり相手の行動の種を見破れるほどのゲームメーカーはいない。答えは試合中にプレーヤーが直接見つけるしかないだろう。
　そろそろ後半が始まる。円堂を中心に、雷門イレブンの士気は何とかもっているようだ。

｢気をつけてね、修也｣
｢ん｣

　ぽんと頭に乗せられた豪炎寺の手はいつも通りの温もりを湛えていて、不思議と安心した。

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