【inzm】雷門の天使様２ (ページ2)

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　次の日の放課後。
　制服のまま部室に向かうと、そこには秋と春奈がいた。春奈は今日も取材か見学だろうと思っていたが、なんと入部希望らしい。マネージャー三人目だ。

｢新聞部の音無春奈、今日からサッカー部マネージャーやります！皆さんの練習見てるだけじゃ物足りなくて！だったら、一緒の部活やった方が早い。そう思ったんです！新聞部の取材力を活かして、皆さんのお役に立ちたいと思います！｣

　よろしくお願いしますと頭を下げる春奈の挨拶は、はきはきとして元気いっぱい、という感じだった。サッカー部員は呆けた表情で聞いている。よく通るその声は、狭い部室内をいっぱいにするようなボリュームだ。

｢あ、ああ……よろしく！｣
｢音無(おとなし)って……｣
｢やかましの間違いじゃないの？｣
｢こら｣

　挨拶を返した円堂のそばで、半田とマックスが小声で余計なことを言うので、Aは肘で突いて窘める。春奈は聞こえているのかいないのか、笑顔を絶やさない。
　とりあえず、彼女に歩み寄って手を差し出した。

｢改めてよろしくね、春奈｣
｢はい！あの雷門の天使様と同じ空間で過ごせるなんて光栄です！｣
｢天使はちょっと……Aって呼んで欲しいな｣
｢いいんですか！？じゃあA先輩って呼びますね！｣

　春奈は人懐っこい笑顔で、先程Aが差し出した手を握る。なんというか……夕香みを感じる。妹っぽいこの雰囲気。
　転んで怪我をしたり、誰かにぶつかったりしないかとヒヤヒヤするAや豪炎寺を余所に、元気いっぱい走り回っていた妹分を思い出し、表情を綻ばせた。すると、何故か春奈が心ノ臓あたりを押さえる。

｢くぅっ……｣
｢どうしたの？｣
｢慈愛の塊のような笑顔……天使様というより女神様では？｣
｢うーん残念、人間です｣

　どうやら、この新しい後輩マネージャーは冗談を言うのが好きなようだ。
　部員は十一人揃い、マネージャーも三人と順調にメンバーを増やすサッカー部。割といい流れが来ているかもしれないと人知れず考えた。

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