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｢ほんとなんですかね、キャプテン……｣
｢噂だよ噂！｣
宍戸に返す円堂の声も微かに震えている。
｢あの……やっぱり豪炎寺さん……｣
｢そうでヤンスね……｣
｢なんだお前ら！ 豪炎寺なんかに頼らなくても、俺がシュートを決めてやる。FWならここにいるぜ！｣
｢おっその勢いだ！ なんか豪炎寺豪炎寺って、そりゃ染岡も怒るって｣
怯えから無意識にヒーローたる豪炎寺を頼みの綱にしようとする少林と栗松に染岡が怒り、半田も染岡を擁護した。去年から半田と染岡はそれなりに共に過ごすことの多かった仲だ。サッカー部の部員が三人だけだった時代から一緒にボールを蹴っていたからこそ、その友情も厚い。
二年生初期組の絆にほっこりしつつ、Aはこっそり染岡に話しかける。染岡を信じきれない一年組のことは、キャプテンたる円堂が何とかしてくれるだろうと丸投げすることにした。
｢ねえ、染岡｣
｢なんだよ｣
一年とのやり取りから不機嫌が取れていないようなので、Aは苦笑して彼の背中を叩く。
彼は強面だが、やると決めたことには真剣に取り組み人一倍の努力を重ねる、そういう男だ。だからこそ、彼ならきっと雷門の真の点取り屋になれるはず。
｢必殺技を習得したらいいんじゃないかな｣
｢必殺技？｣
これが、ずっと考えていたことだった。いくら諦めない心が武器だと言えど、必殺技なしに相手の必殺技を掻い潜るのは至難の業だから。
｢うん、シュートのね。一週間後の試合でも、その先のフットボールフロンティアを見据えても、あなたが必殺技を持っているに越したことはないと思うんだけど……どう？｣
｢……そうだな｣
染岡の目に決意が滲んだ。
必殺技の習得は、決して容易いものではない。現にAが小学生の頃、"
しかし、染岡ならば必ずやり遂げると信じられる。
Aは改めて気を引き締めた。尾刈斗中との練習試合まで一週間。今この瞬間をどう過ごすかで、その先のサッカー部の未来が変わる。
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年7月14日 17時
