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夕香のお見舞いの帰り。
行きと同様豪炎寺に手を引かれ、散歩がてら稲妻町を散策していると、河川敷に辿り着いた。
｢あ、円堂サッカーしてる｣
｢……知り合いか？｣
｢うん、クラスメイト。サッカー部のキャプテンなんだ〜｣
｢雷門にも、サッカー部があったんだな｣
｢部員は七人だけどね｣
なんとなく二人揃って立ち止まってしまう。
｢……Aはサッカー部だったのか｣
｢お手伝いしてるだけで部員ではないよ｣
｢そうか……お前はもう、サッカーには関わらないと思っていた｣
豪炎寺の言葉が示すのは、サッカー……もとい運動が
｢サッカー部に関わってもこの身体のせいで試合には出られないし、虚しくなるだけだと思ってたんだけどねー｣
稲妻KFCの子どもたちとサッカーをする円堂に目を向けてから、夕焼け空を見上げた。
そう、虚しかったのだ。思いっきり走ってボールを追いかけるサッカー部の姿を見ることは。
運動ができないといっても、シュートのひとつやふたつ打つくらいなら問題は無い。自分の限界は自分が一番分かっている。
でも、駄目だった。一度シュートを打ってしまえば、ボールを蹴って走りたくなる。一度走ってしまえば、試合に出たくなる。そうやって、どんどん貪欲になっていくから。
Aはそのくらい、サッカーが好きだという自覚があった。それでも、円堂のキーパー練習に付き合っている理由を挙げるとすれば……
｢円堂は、面白いの｣
｢面白い？｣
｢うん、面白い。太陽みたいなんだ｣
｢あいつがか｣
｢修也もいつかわかるんじゃないかな｣
｢……サッカーはしない、夕香が目覚めるまでは｣
わかってるって。
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年7月14日 17時
