【utit】甘く甘く溶けるまで (ページ8)

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堪えていたものが全て溢れ出す。涙となり言葉となり溢れ出す。

「なんで……なんでそんななんでもわかるんですか……。」
「きょ、せーりで、身体怠いし、頭痛いし、いろんなご飯の匂いとかで気持ち悪いし、でも休めなくて、しんどくて、」

ぽつりぽつりと零す私をうんうんと相槌を打ちながら受け止めてくれる。

『そっかそっか〜よう頑張ったな』

「うっ、ふぇ、、、」

しばらくの間私の頭を優しく大きな手で撫でてくれていた。

『さて、明日も学校やろうしAの家に帰ろか』

彼の口からは『送るわ』ではなく『帰ろか』と告げられた。
その言葉はこの後もセンラさんといられる事を示す。
それだけで心が軽くなって少し楽になる。

すっかり涙は引いたものの体内の水分がそこに持って行かれたことで喉が体の渇きを訴えていた。
そんなふうに考えていたところに『喉乾いたやろ？これ飲み？俺の飲みかけでよければやけど』そう言って差し出されるペットボトル。
外ではしっかりしている私もセンラさんの前じゃ子供も同然。甘やかされてばかりで、生理によって不安定な心は悪い方にばかり考えてしまう。

「センラさん。私のこと、嫌いにならないでね」

彼に聞こえるか聞こえないかくらいの声で呟く。引っ込めたはずの涙がまた溢れそうだ。彼が運転中でよかった。程なくして信号で車が止まり「A」そう呼ばれた方向を向くと突然奪われる唇。かと思えばパッと離れると「俺、A以外見えてへんねん〜」そう言った彼はクシャッと笑って見せる。

(本当、彼には敵わないな＿)

fin.