【utit】甘く甘く溶けるまで (ページ13)

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luz × 酔いページ13

貴女 side

『Aちゃん、ちょっと飲みすぎやない？』

このご時世なので今日は彼の自宅に招かれて宅飲みをしていた。お邪魔さして貰うから、と何品か作ったおつまみと空けられたアルコール度数３％の缶が何缶か置かれる机。お酒は二人とも強い方だが今日のAは少しペースが早すぎる気がすると言って開けようとした缶が奪われる。

「返してぇや〜」

『あかんあかん！もうちょっとペース落とし』

奪われたそれを取り返そうと距離を詰めると伸ばした腕が掴まれる。

『Aちゃん、酔ったふりしてんのバレてんで』

腕を引かれ私の耳元に寄せられた口から語尾にハートをつけて囁かれる。

ギクッ＿バレていた。そう、本当は全然酔ってないし意識もまだあるし喋りもはっきりできる。しかし酔ったフリをしていた。なぜかって？決まってる。”甘える為”だ。生憎可愛い性格は持ち合わせていなかったのでお酒の力を借りなければ大好きな彼に甘えることはできなかった。
大方、天然な癖にやけに察しのいい彼ならここまで気づいているのだろう。

(もう、どうにでもなれ！)

覚悟を決めて彼の胸にエイッと飛び込む。オワッと驚きながらも私を受け入れ抱きとめてくれる。

『ん〜甘えたさんモードかぁ』

よしよしと頭を撫でながら対面する形で膝の上に座らされる。

『それならたっくさん甘やかし足らんとなぁ。今日はずーっとひっついて、一緒に寝よか』

あ、一緒にお風呂入るのもええかもなぁ、なんてニヤニヤしながらいうもんだから

「ばか、」

と肩をポカっと殴ると、ははは、否定はしないんやなぁなんて意地悪なことを言われて顔に熱が集まる。今日くらいはいいかもしれないなんて思ってしまい、そのままその後も否定することはなかった。

『Aのお気に召すままに』

その言葉の通りその日の夜は彼の体温が離れることはなかったし、全ての願いを叶えてくれた。
甘やかされるのが癖になってしまった。
今まで付き合ってきた人はいたけれどここまで尽くされたのは初めてで嬉しくも恥ずかしくもありながらハマってしまい抜け出せず、甘えるのも悪くないと思う私だった。

fin.