疑似恋愛ーAndroid1224ー最終章完結ー (ページ6)

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■Android26■ ページ6

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帰り道

マサキの鼻歌を聴きながら

のんびり歩く

だけど、突然マサキが立ち止まって、キョロキョロし出した

「どうしたの？マサキ？」

「聞こえる」

繋いだ手が離れて、

マサキが植え込みの影にしゃがみ込んだ

後ろから覗くと、
ダンボール箱の中に、１匹の子犬がいて…

タオルにくるまった体ごと、マサキが抱き上げた

「お前、どーしたの？」

ふわふわの頭を撫でながら、マサキは子犬に話してる

「捨てられちゃったんだね。……ほら」

ダンボール箱には、
『誰かもらってください』
…って、書いてある

「捨てられたの…？」

「ｸｩﾝ…」

マサキは子犬と同じ、
寂しい目をして

私に振り返った

「コイツ、連れて帰っちゃダメ？」

「ダメだよ。うちはマンションだから、飼えないし」

みるみる泣きそうな顔して
子犬をジッと見つめていたけど…

しばらくすると、
マサキは子犬を、ダンボール箱にそっと戻した

「ごめんね」

寂しい背中に、
胸が痛んだけど

「マサキ、きっといい人が拾ってくれるよ。ね？」

「うん…」

マサキが力無く笑って、
離れた私の手のひらを、ギュッと握った

さっきよりも強く

「マサキ…」

「……アイツ、もういらないって、捨てられたのかな」

マサキは優しい

この時、捨てられた子犬を可哀想に思ってるんだなって…

単純に私は思っていたけど

違ったんだね

マサキ…？

あなたの笑顔が、

どうしてそんなに惹きつけられるのか…

どうしてそんなに優しいのか…

私はまだ、気づいてなかった

誰より、

"寂しい"を知ってるからなんだね

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