疑似恋愛ーAndroid1224ー最終章完結ー (ページ16)

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■Android36■ ページ16

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「いや…っ、マサキッ！」

慌てて駆け寄り、
顔を覗くと…

傷だらけのマサキが、

……笑った

そして、私の手のひらを力無く手繰り寄せ、小さな塊を握らせた

「……かった…ぁ」

「マサキ…？」

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「"宝物"なくならなくて良かったぁ……

大事…、なんだよね？
Aが泣くの、オレやだもん」

覗いた腕は、ぶらんとして、たくさんの配線が見えた

膝に伝わる腕の重さだけでも、人間のそれとは遥かに違う

「A…怒ら、ない…でね？」

途切れ途切れのマサキの声

「リョウの気持ち、ちょっとわかったの…オレ、もうダメ…みたいだから…」

マサキから流れるのは、
赤い血じゃなくて、黒いオイルみたいな液体

バスにぶつかった衝撃で、いろんな箇所から漏れ出していた

「リョウはね、Aにオレの分も生きてって、幸せになってって…思ったはずだよ」

「マサキ、喋らないで」

「ありがとうって…」

溢れ出す涙で視界が歪んでも

マサキが笑ってるのがわかった

「オレも…、ありがとうって思うから」

私、マサキに何もしてない

「オレを、外の世界に連れ出してくれてありがとう…」

なんにも……出来なかった

「A、大好きだよ」

ざわざわと、周りに取り囲む人の気配を感じた

マサキしか、見てなかったけど…

思わぬセリフが、確かに聞こえて…

後ろに振り返った

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「なんだ…、人間じゃなくて、ロボットか。良かったな」

拳に力が入ったけど

視界に、怒鳴りつけるジュンくんと、それを止めるショウさんが飛び込む

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「オレらだって！生きてんだよ!!」

「ジュンくんっ!!」

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「いきなりマサキの電波が異常サイン出したから…」

私の横に、ニノくんがしゃがんで、目蓋を閉じたマサキの髪を撫でていた

涙が溢れて
止まらなかった

私は、リョウの幻や思い出だけで生きてこれたんじゃない

マサキ…、
私が笑えるようになったのはね？

リョウを演じてくれる、
マサキの優しさに触れたからだよ

マサキがいたからだよ

どうして私は、
マサキといたいんだって

そう、言ってあげられなかったんだろう

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