疑似恋愛ーAndroid1224ー最終章完結ー (ページ13)

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□Android33□ ページ13

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午後７時前

残業もなかったし、
早く帰ったら喜んでくれるかな

自然と早足になる私を、
背後から誰かに呼び止められて

……振り返った

「こんばんは。ちょっと、いいですか」

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そこには、
サトシさんの姿があった

「マサキの事でちょっと」

真剣なサトシさんの態度に、自然と体が強張る

２人で、側の喫茶店に入った

注文したコーヒーは、見つめるばかりで、全く口をつけられなかった

グラスの表面を纏う水滴が、つぅーっと流れる

サトシさんは、少し言いにくそうに、重い口を開いた

「あの…、Aさん。
今、あなたは幸せですか」

ズキッ…と、
胸が、痛くなる

「どうしてそんな…」

目を合わせられずに、
グラスをギュッと手のひらに包んだ

「マサキを…、返して下さい」

思わず、顔を上げる

ふわっとしたイメージの彼が、怖いくらい真剣な目をしていた

「…私…」

「あれは、リョウさんじゃない

…だけど、マサキでもない」

怖いくらい真剣な眼差しが、ふにゃっと優しく変わる

だけど、切なかった

「マサキはただのAndroidかも知れない。だけどね…」

サトシさんの話した事は、ホントは最初から、どこかでわかってた

だけど私は…、
自分の事だけを守ってしまって…

薬指の指輪を見つめながらただ、俯いて…

サトシさんの言葉を聞いた

「偉そうに言えないんだけどね。オイラも、あなたを利用したから」

「サトシさん？」

「マサキを外に出したくて、あなたをキッカケにしちゃったから」

ふふっと笑って…
向けられる優しい顔

「マサキはね、誰より優しいの。このままでいたら、きっとアイツ壊れちゃう……

Androidだけどね、オイラ達は精密なの。心がね…ちゃんとあるんだよ」

優しく諭すように話を続ける

マサキが外に出れない頃

お屋敷の庭にいるマサキを眺めながら、いつも思ってたんだって…

「気づいたらね…、
自然と鳥とか虫とか集まってんだよ

草木や咲いた花さえ
マサキの周りは、特別にあったかい空気を纏って見えた」

……涙が溢れた

ホントにそうなのかもしれない

「マサキは人間じゃなくて、
もしかしたら、天使に近いAndroidなのかもって…」

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