3話 ページ3
sideふみろく
『じゃーん』
「おぉ、すげぇ」
数分経って部屋から出てきた彼女の手には大きな袋が1つあった。
差し出された袋を受け取ると思ってたより重くて、思わず落としてしまいそうになったのを受け止めた。
『開けていーよ!』
ニコニコ微笑みながら俺の前に座った。
つられて俺も思わず正座する。
心臓がバクバクと鳴って、まるで本番前のように緊張している自分がいた。
この位で情けねぇ、心の中で苦笑いをしながら袋に手をかけた。
袋の中でもさらに3つに分かれていて、大きいものが1つ、小物が1つ、封筒が1つ。
まず大きいのから開けて、と本人から言われたのでその通りに開ける。
「えっ、これ、俺がずっと欲しかったやつ…!!!」
『んっふふ…奮発しました』
「くそ嬉し…ありがとう」
プレゼント用の包装から出てきたのは有名ブランドのパーカー。
発売当初からずっと目を付けていて欲しかったものの、値段が服に使えるような桁じゃなかった為、泣く泣く諦めたのだ。
でも俺、めいにこの事言ったっけ…?
家ではこんな会話した覚えないし…
そんな事を考える俺を見透かしたように、めいはふふっと笑った。
『プレゼントはふみが絶対欲しい物をあげたかったから、カナタさんにふみ、最近何か欲しいとか言ってませんでした?って聞いたの』
『初めて話したからめちゃくちゃ緊張したんだからねー!』と少し恥ずかしそうに笑うめいに抱きつこうかと思ったが、それを遮るかのように次開けて、と催促された。
小物用の包装を丁寧に開けると、そこには銀のリングに黒のキラキラとした宝石のようなもの施されたピアスだった。
「かっこいい…」
『ふみ私とお揃いが欲しいって言ってたから安物だけど…』
「えっ、めい耳あけたん!?」
『両方1個ずつだけど…ほら』
髪で隠れていた耳が露わになると、めいの耳にはしっかり自分とお揃いで、しかもめいの分はオレンジの宝石という最高なピアスがついていた。
「さいっこう……」
『相変わらず語彙力ないなぁw』
「これはしゃーない…」
めいの軽快な笑い声が部屋に響く。
好きみがエグい………
お揃いが欲しいって言ってたのもかなり前なのにちゃんと覚えてるところ本当に好き。
「この封筒は?」
『あっ、それは…恥ずかしいから1人で開けて!』
「今開けてきてい?」
『……いーよ』
よっぽど恥ずかしいのか体育座りで顔を埋めたまま返事をした。
耳まで真っ赤…
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作者名:しげっち。 | 作成日時:2018年11月15日 17時