【アナタシア】キスの意味【短編集】

→ ページ25

右手には大きくて男らしい手が絡まれている。

ふと視線を上げると、満足そうな表情で私を見ているふみくん。


な、なんでこうなった…？


『そ、そろそろ次行かん？』

ふ「ん。もーちょっと待って」


さっきからこの会話の繰り返し。別にどこかに移動する訳でもなく、何をする訳でもなくずっとこのまま。

強いて言うならふみくんのニヤニヤが時間が経つにつれてひどくなっている所くらい。


ふ「……ほんとかわいいな」


そう言ってふみくんは私の鼻にそっと口付けた。

一気に顔に熱が集まる私とは逆に幸せそうな顔をして私の頬を撫でた。


ふ「今は我慢したけど…家帰ったらここな？」


そういい、壊れ物でも触るかのように優しく私の唇に触れた。

目のやり場に困って視線を泳がしてしまう。

それを見たふみくんはふはっと笑いを漏らした。


『(笑い事ちゃうよ…)』


ふみくんの動きひとつひとつで私の心臓はバクバクと激しく動き出す。

初めてキスされた時なんてもう死んでしまいそうだった。

でもふみくんは相変わらず余裕そうで。

これが経験値の差なのかと見せつけられた気がした。


『(今度は私も、なんか余裕そうな感じで…)』


心の中で小さく意気込んでふみくんの目を見つめた。


『ここ以外にはしてくれへんの？』


上目遣いがちに言うとふみくんは目を見開いて動かなくなった。

ん？、、、なんで！？なんで動かんの！？


『あ、あの、ふみくん』

ふ「は〜〜しんどいわ〜尊死。神様ありがとう」

『ど、どしたんふみくん』

ふ「いや、めいは気にしないでいいよ。あ〜〜生きててよかった。ご褒美だこれ…あ、そろそろ先進もっか」

『あ、うん』


手を絡ませたまま、何事も無かったかのように進み始めたふみくん。

あの言動はなんやったんやろ…

気にしすぎたせいでその後のイルカショーが全く集中出来なかったのはふみくんには秘密。


────────

────

──


ふみろくside


かわいいだろ？



もうしんどすぎる。尊死する。



やっぱり俺の彼女は世界一かわいい。



鼻へのキス【愛玩】



------------------

彼女にでれでれなふみろくさんも書きたかったし、方言彼女も書きたかったのでガッチンコさせました！
方言って言ってもやんわり(？)関西弁です。

学校が始まったので更新遅くなります。ごめんなさい。

所有→←愛玩

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す