ねじれの位置が443つ ページ13
私達がバスに乗って向かったのは、まさかの軍部だった。私達が監 禁されていた場所。一瞬で全員の顔に眉間が寄ったけれど烏間先生は大丈夫だと話していくれた。
どうやら、捕らえた時に回収した荷物を渡してくれるらしい。
「これも私のか」
取り敢えず、洋服と鞄を取る。
「持てますかー？ひ弱さん」
「持てません、はいどーぞ」
「わぁ、女王様」
そこそこ荷物が多い彼に向かって私の洋服が入った袋を渡す。悠馬が苦笑いで此方を見ているのを見てすかさず彼の元へ向かう。
「此処での生活も、今思えば楽しかったかも」
「何処がだよ」
部屋の隅から杉野のツッコミが聞こえる。
「だって、皆でお泊まりなんて中々無いじゃん？」
そう言うと、何故か皆の動きが止まった。どうやら地雷を踏んでしまったらしい。悠馬の服の袖を掴んで顔を上げる。すると彼は予想に反して笑っていた。
「まぁ、そーだな」
「こんなに頭キリキリにして考える事も無かったしね」
次々に溢れる言葉に私も笑みを漏らした。結局、何でもかんでも楽しんだ者勝ちなのだ。
施設を出て、大きな門を潜る前、皆が無理矢理作った笑顔で手を振った。
「じゃあ……バイバイ」
会おうと思えば会えるのに、どうしてこんなに胸が苦しいのだろうか。私も悠馬と陽斗と、同じ方向に歩き出した。この駅のロータリーで私達もお別れだ。
「中学最後が、3人同じクラスで良かった」
悠馬は小さな声でそう言った。
「エンドのE組だけどね」
私は笑いながらそう言った。
「変わんねーよ、何処のクラスでも……何処に居ても」
陽斗も笑いながらそう言う。
「1年間ありがとう……本当に幸せだった」
「ありがとう、俺もすっごい楽しかった」
「ありがとな、3人で居るのがやっぱり楽だわ」
2人の手をギュウッと握ってから顔を上げる。毎日顔を合わせるのも、これで最後なんだと思うと少しだけ悲しくなる。
「卒業おめでとう」
悠馬が今にも泣きそうな声でそう言った。
「卒業おめでとう」
陽斗はいつも通り、太陽みたいな笑顔を見せる。
「……うん、卒業おめでとう」
私もクシャクシャに笑ってみせた。
色々あった。
辛い事、嫌な事、楽しかった事、嬉しかった事、幸せだった事。
でもきっと、この3人が揃ったから出来た事だ。エンドのE組に、暗殺教室に導かれたメンバーだったから。
「またね」
悠馬はバス停に、陽斗は駅の中に入って行く。私は此処で翼さんと待ち合わせだ。
3人が、皆が別々の道に歩き出した。
あとがき もしくはねじれの位置終了→←ねじれの位置が442つ
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詩季(プロフ) - 錫さん» サイドストーリーでも彼は結構前原君と踏んだり蹴ったりなので、自分でも引いてしまうくらいに……。何はともあれ、最後まで読んで頂きありがとうございました。アフターストーリーも良ければ見て下さい！！ (2020年4月13日 20時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - 錫さん» 感想ありがとうございます。今回カルマ君は踏んだり蹴ったりな役回りでしたが、小野寺ちゃんを磯貝君とは違う視点で支えてくれた人物だと勝手に解釈しております。そんな彼を今作でも愛して下さって嬉しいです。イメージ違いなんじゃないかと少し焦っておりました。 (2020年4月13日 20時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
錫(プロフ) - 一先ず、完結おめでとうございます。素晴らしいものをありがとうございました！ 長くなってしまい申し訳ありません。 (2020年4月13日 19時) (レス) id: 678ec532f6 (このIDを非表示/違反報告)
錫(プロフ) - お疲れ様でした！ 赤羽業 のタグに導かれて拝読しておりました私ですが、最後まで詩季さんの描くカルマくんを大好きで、かつ彼女と彼とが恋をするわけでない御作も大好きでいられたことに感無量です。 (2020年4月13日 19時) (レス) id: 678ec532f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2020年4月12日 18時
