ねじれの位置が276つ ページ38
家庭科室に入って来た取材陣の質問も適当に答えて店を開ける。
其処からはもう皆必死で、注文が入る度に採って作って売っての繰り返しだった。
「不味いです！どんぐり麺もうすぐ在庫無くなります！」
奥田の大きな叫び声に作業の手が止まる。確かに売れ行きは思った倍以上で、この時間に無くなるのも当然である。
「サイドメニューの山の幸も売れ行き良いよ、残り時間はこれで粘ろうよ」
「もう少し山奥に足を伸ばせばまだ在庫は生えてるぜ」
原と木村は新しい案を出していく。此方も材料が手薄になりつつあるがまだ行けそうだ。
「いや、此処いらで打ち止めにしましょう」
どんぐりの形をした殺せんせーが触手でバッテンを作っていたそう言った。
「でもそれじゃ勝てないよ！」
渚の抗議は最もだろう。勝ちに行くしか無いと言い切った殺せんせーが自ら負けを選ぶとは誰も思っていなかった。
「良いんです、これ以上採ると山の生態系を崩しかねない。
植物も、鳥も、魚も、菌類も節足動物も哺乳類も…あらゆる生物の行動が縁となって恵みになる」
「この学園祭で実感してくれたでしょうか、君達がどれ程多くの縁に恵まれて来た事か。
教わった人、助けられた人、迷惑を掛けた人、掛けられた人、ライバルとして互いに争い高め合った人達」
学園祭初日に来てくれた人達は特にそういう縁で結ばれた人達だった。2日目だって多くの知り合いが来てくれた。
きっと、この縁が大事なのだろう。
私達は閉店を決めて、ラストオーダーまできちんと働いた。最後のお客さんを全員で見送ってから片付けに入る。
「Aちゃん！渚のお母さん来たよ」
「……は？」
キッチンで器材を片付けていると急にカエデが入って来てそう言った。私は手を引かれるまま教室に入り、外で話す2人を見守る。
相変わらず、この教室にプライベート空間なんて無いらしい。
「渚、この前の校舎での出来事ね。
此処でアンタが私を守って不良をやっつけた時、背中見て思い知ったわ。私の息子は私とは別人だって。
私から卒業するって言ったのも虚勢じゃない、それだけの力を知らぬ間に身に付けていたんだって」
親というのはどうも理不尽な物らしい。子供とは自分の所有物であり、自分の為に生きていると勘違いしてしまうのだ。
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詩季(プロフ) - レイカさん» ありがとうございます〜！普段は誤字の訂正にレスはしないのですが、これはちょっと面白かったのでレスしてしまいました。浅野君…学年最下位にっ…！笑笑 (2020年3月20日 22時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
レイカ(プロフ) - 浅野くんの点数が197点になってます！ (2020年3月20日 20時) (レス) id: 2f295bf970 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 中間、誤字ってます (2020年3月18日 19時) (レス) id: 83190f504a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2020年3月14日 19時
