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ねじれの位置が152つ ページ10

泣き止むのにどれくらいの時間を使ったのは分からない。しかし泣き止んだ頃にはもう菜摘は居なくなっていて、悠馬が何も言わずに抱き締めてくれていた。

しゃくり声と、波の揺蕩う音と、悠馬の心臓の音が聞こえる。

心の中にあった締め付けが無くなって空っぽになった気がした。頭の中は真っ白でもう何も考えられない。

何が正解だったのか、何をするべきなのか、未だによく分からないけれどそれで良いのかもしれない。

私は深呼吸をして悠馬の肩口に額を置く。

「……ごめん」

気付けばそんな言葉を放っていた。楽しい夏休みなのに、こんな話してごめんなさい。嫌な事ばかり並べてごめんなさい。迷惑ばかり掛けてごめんなさい。

「今言うのはそれじゃないだろ」

悠馬は小さな声でそう呟いた。私は小さく頷く。分かってる。分かってるのにどうして出て来なかったのだろうか。

「ありがとう、今までも…ずっと。」

自分が大変な時も私と話そうとしてくれて。ずっと気に掛けてくれて。我儘を聞いてくれて。

悠馬のお陰で出来る様になった事が沢山あるんだ。

人と話すのが怖くなくなった。まだ下手くそだけど笑える様になった。好きな物を好きって言える様になった。他にも、沢山。

「どういたしまして」

そう言って背中を撫でてくれた。それだけで何もかもが許された様な気がして狡い。私は悠馬の背中に拳を入れる。

「え、なんだよ」

心外だ、と言わんばかりの声が面白くて笑みが零れる。

「目真っ赤なんだけど」
「だから擦るなって言ったろ」
「悠馬のせい」
「はいはい」

最後にもう1回、ぎゅーっと力強く抱き着いてから離れた。もう大丈夫だという意味を込めて笑うと悠馬も笑い返してくれる。

「冷やさないと」
「だな」

先に立ち上がったのはゆうで、手を引いてくれたのも悠馬だった。昔からずっと私は着いていくばかりで何もしない。それが少しだけ悔しかったり、頼れると感じたり、複雑である。

「……ありがと、大好きだよ」

なんて呟いてみたけど絶対に聞こえて無いだろう。

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詩季(プロフ) - 閃光の舞姫さん» コメントありがとうございます!!1から読んでいただけているなんて凄く嬉しいです、これからも頑張ります!! (2020年3月8日 14時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
閃光の舞姫 - 1から全部読んできました!すごく面白いです!更新、頑張ってください! (2020年3月7日 21時) (レス) id: d6107e9d06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:詩季 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/sa1son_i25  
作成日時:2020年3月5日 17時

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