ねじれの位置が150つ ページ8
2年前。
『Aちゃん、君は椚ヶ丘中学校の生徒だね？』
柏木と名乗った白髪混じりのおじさんは何日も私の前に座り続けた。お菓子を食べながら他愛の話を聞かせてくれる。
しかし突然、そんな言葉を言われた。
私は頷く。すると柏木さんは嬉しそうに笑ってくれた。
『良かった、やっと小野寺Aちゃんの事を見付けられたよ』
そう言われた瞬間、胸の内が温かくなった気がしたけどその温度の名前を私は知らなかった。
状況は最悪だった。
目の前に座る人達は私の両親が目の前で殺された事を知らなかったらしい。
引き取る人が居ない、そんな話題で持ちきりだった。
誰さんも駄目、誰さんも駄目、親戚の名前が何回も聞こえて来る。施設に預けるか、なんて話も聞こえて来た。
だけどある日、それを覆す様に若い男の人が来た。
『俺の名前は小野寺翼、君の家族になりに来ました』
彼の後ろで乾いた菜摘が真っ黒な顔で私を睨んでいた。
δ
今でも、あの男の2人組が何の目的でどうして私や菜摘を監 禁したのか分からない。
どうして両親が殺されたのかも分からない。
菜摘の事を殺めてしまったのかも分からない。
分からない事だらけの話を誰に話した所で意味が無い。答えが出る訳でも無い。
でも、1つ分かった事がある。
私は幸せになってはいけないのだ。
今でも夢に見る。
あの日の血の温度と、菜摘の恨み言。
あの日の記憶と、両親がお前のせいだと指を差す。
翼さんの家に招待された時にはもう笑えなくて、感情らしい感情が無かった。
唯一感じる事が出来たのは罪悪感と恐怖と後悔だ。
私があの時死ねば良かったのに、なんて何度考えたのか分からない。
今もきっと思ってる。
こうやって無駄に日が経っていく内に自分が何をしたいのか分からなくなった。
極端に人と関わる事が恐怖に感じて拒み始めた。
他人の温度が怖くなった。
助けてなんて言える相手は居なくなっていた。
だから自分の声も全部無視して聞こえないフリをした。
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詩季(プロフ) - 閃光の舞姫さん» コメントありがとうございます！！1から読んでいただけているなんて凄く嬉しいです、これからも頑張ります！！ (2020年3月8日 14時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
閃光の舞姫 - １から全部読んできました！すごく面白いです！更新、頑張ってください！ (2020年3月7日 21時) (レス) id: d6107e9d06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2020年3月5日 17時
