ねじれの位置が147つ ページ5
荷物を部屋に置いてから皆の安眠を妨害しない様にもう1度外へ出る。何をしようか、なんて考えていると隣の部屋の扉も開いた。
「あれ、早いな」
「…お、おはよ」
爽やかな笑顔を浮かべたのは私の幼馴染だった。悠馬もこの時間に誰かが起きてるなんて思わなかったのだろう。微妙な空気が流る中、私は1つ思い出した。
「ねぇ」
そんな声を漏らすと悠馬は瞬きをしてから此方に顔を向ける。私は今出来るだけの笑顔を見せてこう言った。
「海……行かない?」
まだ結ってない髪の毛を耳に掛けて見ると驚いた顔をする悠馬が頷いたのが見えた。
δ
日差しが痛いとかそういう事は無く、柔らかい温度が体を包む。サンダルを引っ掛けながら向かったのはビーチよりは少し遠い屋根が付いている上に地面が木で構成されている所だ。
其処のハンギングチェアに2人で腰掛けた。
「ごめんね、何かする所だった?」
「いや?みんな寝てるし何しよーかなって」
なんて会話をしたら途切れてしまう。私は拳を握って覚悟を決める。
「この前の!話の続きしようと思って……」
「この前って…あぁ」
説明せずとも覚えていてくれた。
両親の命日の日、学校を休んだにも関わらず放課後に登校した日の事だ。その時に少しだけ両親の話をした。しかし、途中で話すのが困難になってしまい今度にしようと悠馬が提案してくれたのだ。
「うん良いよ、聞かせて?」
悠馬は優しい。私のペースに合わせて話を聞いてくれる。大きく深呼吸をしてから顔を上げる。思い出す事はいつだって残酷で、心が締め付けられる物だった。
「目の前でお母さんが殺されて、お父さんを探してたら後ろから知らない人に肩を叩かれて、何も答えない内に手を引かれたのは私の部屋だった」
「其処に居たのは私の机に突っ伏したお父さんだった。首元から血が流れてて、ナイフが刺さってて、死んでるんだってすぐに分かった」
「手を引いた男の人は愉しそうに笑いながら君のせいだよ、君の部屋で死んでいるお父さんはどう?って聞いて来た」
刺さっているナイフも流れていく血液も妙に生々しくて温かったのを今でも覚えている。
「それから私は後ろから何かで殴られて、其処からは覚えてない。でもその人がきっと、私達を体育倉庫に閉じ込めた人だと思う」
最後に見えた世界には2人居た。あの家の来訪者は2人居た。それだけは覚えている。
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詩季(プロフ) - 閃光の舞姫さん» コメントありがとうございます!!1から読んでいただけているなんて凄く嬉しいです、これからも頑張ります!! (2020年3月8日 14時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
閃光の舞姫 - 1から全部読んできました!すごく面白いです!更新、頑張ってください! (2020年3月7日 21時) (レス) id: d6107e9d06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:詩季 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時:2020年3月5日 17時