ねじれの位置が175つ ページ33
緊迫した空気が続く。
言葉を並べても竹林のは冷たい視線で此方を見つめるばかり。私は唇を噛んでこの汚い空気を耐えた。
「賞金100億、殺りようによっちゃもっと上乗せされるらしいよ」
カルマがフェンスに背中を預けながら声を上げる。
「分け前いらないんだ竹林、無欲だね〜」
そういう話でも無いと思う。
暫く黙ったままの皆の中で竹林はやっと口を開いた。
「せいぜい10億円」
頭上にはてなを使っ浮かべるみんなの前で竹林は堂々と演説を始める。
「僕単独で100億ゲットは絶対に無理だ。
上手い事集団で殺す手伝いが出来たとして僕の力で担える役割じゃ…分け前は10億が良い所だね。
僕の家はね、代々病院を経営してる。
兄2人も揃って東大医学部。
10億って金はうちの家族には働いて稼げる額なんだ」
彼は一息付いてから、また声を出す。
「出来て当たり前の家なんだ、出来ない僕は家族として扱われない。
僕が10億手にしたとして、家族が僕を認めるなんて有り得ないね」
それから彼は語り続けた。
もし10億手にしても家族は出来損ないがラッキーで人生救われてよかったな、で終わってしまうらしい。
昨日、初めて親に成績の報告をした時には首の皮1枚繋がったな、と一言言われた。
その一言を貰う為だけに血を吐く思いで勉強したとも。
「僕にとっては、地球の終わりよりも100億よりも、家族に認められる方が大事なんだ」
家族が居ない私には遠い世界の話に聞こえた。
私には彼の話の半分も理解出来ていない。分かってあげられない。だから挟む口も無いのに、どうしてこんなに悔しいのだろうか。
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詩季(プロフ) - 閃光の舞姫さん» コメントありがとうございます!!1から読んでいただけているなんて凄く嬉しいです、これからも頑張ります!! (2020年3月8日 14時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
閃光の舞姫 - 1から全部読んできました!すごく面白いです!更新、頑張ってください! (2020年3月7日 21時) (レス) id: d6107e9d06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:詩季 | 作者ホームページ:http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時:2020年3月5日 17時