ねじれの位置が170つ ページ28
山を降りている途中、基本無言な私達なのに珍しく翼さんが声を掛けて来た。
「あの2人が幼馴染み？」
「…はい」
未だに彼とのコミュニケーションの取り方が分からない。小さく返事をするが顔は合わせなかった。
「名前はなんていうの？」
翼さんが興味を持つとは思わなかった。つい顔を上げて彼の様子を伺う。優しく笑っている彼の真意は読み解けなかった。
「黒髪の方が磯貝悠馬で、もう1人は前原陽斗です」
「そうなんだ、2人共格好良いし優しいし今時の中学生は凄いなぁ」
何を思ってるのか、何処に向かって話しているのかよく分からない。不思議過ぎて頭が追い付かない。そんな私を見たのか見てないのか、翼さんはにっこりと笑いながら此方を向いた。
「ねぇ、お腹空かない？」
δ
はい、とか細い声で返事をすると連れて来られたのはパンケーキ屋さんだった。好きなのを食べてね、と言われてメニュー表を見ると美味しそうな名前がチラホラ乗っている。
1つ、チョコレートとグラノーラのパンケーキ。
2つ、季節の果物のパンケーキ。
3つ、小倉バターのパンケーキ。
小倉バターに関してはバニラアイスも乗っているというチート付き。どれも甘さは丁度良さそうで悩んでしまう。
「あはは、悩み過ぎ」
聞こえて来た笑い声に驚いて顔を上げる。純粋に目を細めて笑う彼は一頻り笑った後私のメニュー表を寝かせた。
「どれでも悩んでるの？」
メニュー表に手を付けて広げる。
「あ、えと…これと、これと…後は小倉です」
「じゃあ俺は季節の果物にしようかなぁ…ほら、残り2つはまたくれば良いでしょ？」
季節の果物は定番メニューの様でそうでない。果実は季節によって成る物が変わるからだ。名前は一緒でも内容は違う。限定物に女子は弱い。
「あの……」
楽しそうに笑う翼さんに私は小さく声を上げる。ん？なんて優しい声で聞き返してくれる彼の真意は未だに読めなかった。
「良いんですか？」
「何が？」
なんでもない様に笑う彼の顔が何処か悠馬に似ている気がした。それが嬉しかったのか怖かったのか分からない。しかし攻撃的になってしまったのは事実だ。
「翼さんだって他に食べたい物があったでしょう？…それに、またって……」
また来れば良い、なんて簡単に言うけど彼と出掛ける事なんてまず無い。そんな突飛な嘘ばかり付く大人なんて信じられない。
「俺は只、Aと仲良くしたいだけだよ」
ひゅっ、喉から変な息が漏れた。
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詩季(プロフ) - 閃光の舞姫さん» コメントありがとうございます！！1から読んでいただけているなんて凄く嬉しいです、これからも頑張ります！！ (2020年3月8日 14時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
閃光の舞姫 - １から全部読んできました！すごく面白いです！更新、頑張ってください！ (2020年3月7日 21時) (レス) id: d6107e9d06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2020年3月5日 17時
