【暗殺教室】ねじれの位置IV【磯貝悠馬】

ねじれの位置が154つ ページ12

いつも通り、ベースカラーを塗ってから二重幅にブラウンを塗り、アクセントで目尻にピンクブラウンを入れる。

「そんなんだからいつまで経っても男が捕まえらんないのよ」
「興味無いです」

他の男には、なんて心の中で呟いた。
今度はニヤニヤと笑うビッチ先生に呆れて溜め息を付く。よくそんなに表情のレパートリーを持っているな。

「化粧の事はよく分からないけど、可愛いと思うよ」
「うっせ」

悠馬のフォローに感情とは反して罵りが出てしまった。私は涙袋にも少しメイクを施してから睫毛を上げる。

それからマスカラを塗って、いつものベビーピンクのリップを持つ。

それから少しだけ考えて、辞めた。次に取ったのは紅色のリップ。

「へぇ…可愛げあんじゃない」

明らかに塗っています、といった色合いのリップを付けてから金縁の眼鏡を掛ける。

「あ〜あ、悠馬のせいで今日は眼鏡だぁ」
「え、俺のせいなのか？」
「なぁんか怪しいと思ってたのよね〜」

ビッチ先生はそう言いながら私の元へ近付き顎をグイッと引き上げた。

「……泣いた？」
「気のせいです」

即座に否定を述べるのは肯定と殆ど同意義で。ニヤリと笑うビッチ先生は勢い良く悠馬の方に振り向いた。彼が1歩だけ後退ったのが見える。

「駄目じゃない、女の子泣かせるなんて」
「え、あ…え、え？」

色仕掛けで寄っていくビッチ先生と段々と壁に追いやられる悠馬。ドン、と背中が壁に付いてしまって助けを求める様に私を見る。

私は鏡に向き直してアイロンの電源を入れた。

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小野寺Aさんの過去は、小野寺Aさんが主観で描かれているのでよく分からないという事を表現するべく、敢えて言葉足らずに説明しています。

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