平行線が184つ ページ42
カルマの様子が可笑しい。
そう囁かれる様になったのは、中間テストが終わってすぐの事である。
私は帰りのショートで配布されたオール満点の個票を見つめながらメグの愚痴を聞いていた。
「クラスLINEでまた引っ込む様になったじゃない？普段馬鹿みたいに騒いでるのに。しかも個人に充てられたLINEも素っ気ないって」
「気分じゃないの、そういう奴じゃん」
「見掛けに依らずしっかりしてるタイプだから心配してんの」
メグの個票はもうすぐでぐしゃぐしゃになりそうだ。
でも確かに、この前会った時は様子が可笑しかった。ちょっとやそっとの事では動じないタイプなのはクラス全員が知っている。彼が静かになるのはそういう事ではかもしれない。
「もし、来年の今日に地球が無くなるって言ったらどうする？」
私が呟いた言葉にメグが目を大きく開く。
「この前会った時聞かれた」
素直にそう答えると今度は眉を寄せてほんの少しの怒りを見せる。
「なに、殺せんせーの話？」
「さぁ？その後は誤魔化されたから」
2人で唸る。生徒はもう殆どクラスに残っておらず、この会話は誰にも聞かれていない。私は個票を折り畳んでファイルにしまった。
「彼奴の事だから誰かに何が言われたとかは無いでしょ、自分の内側の問題。気にする必要は無い終わり」
私はそう言ってファイルを鞄の中にしまう。それから鞄を担ぐ。
「そうかもしれないけど」
鞄を持った右手を掴んで帰さないぞと暗示をかけられる。私は構わず溜め息を吐いた。
「メグは何が心配なの？」
率直に尋ねる。彼女は唇をきゅっと結んで斜め下を見た。メグがあからさまにこんな顔を見せるのは珍しい。
「春だってそんな感じだったじゃない、1人で抱え込んで1人で解決されるのは嫌」
結局は彼女のお節介なのだ。私は肩を竦めて笑ってしまった。
「なに！」
「いや別に」
ケラケラと笑って返す。メグは怒りを通り越したのか溜め息を吐いた。
「大丈夫だよ、春だって渚が居たでしょ？今回だって1人じゃ駄目なら他人に愚痴る。カルマはそういう人」
心配で揺らぐ瞳にしっかりと訴える。まだ拭えない不安はきっと、どうやっても無くならない。片岡メグとはそういう人だ。
「そんなに心配なら聞いてみればいいじゃん。どうせメグからは何も言ってないんでしょ？」
私の正論にメグは図星を付かれていた。私もニッと笑って彼女の手を引く。
「ほら、帰るよ」
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詩季(プロフ) - ハニさん» コメントありがとうございます、最近は時間が無く、長期休みにしか投稿出来ませんがまた読んでいただけたら幸いです。 (2022年3月6日 13時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
ハニ(プロフ) - ねじれの位置から一気にここまで読み進めてしまいました…！この作品、大好きです！更新頑張ってください！ (2021年9月7日 18時) (レス) id: dd382f78df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2021年9月2日 19時
