平行線が183つ ページ41
テスト前の休日最後の日。今回もいつも通り3年E組があった旧校舎に来ていた。入り口の引き戸に手を掛けたが空いていない。
いつもは先に来ているのに。
無駄な事を考えても仕方無い為、土しか入っていない植木鉢の下からＵピンを取り出して鍵を開けた。
自分の席に座って勉強道具を広げる。それから30分程勉強しているともう1人がやってきた。
「久しぶり〜」
「ん、久しぶり」
生物のワークを見たまま返事をする。カルマも隣で物音を立てながら勉強を始めた。此処に来ると無言になれる。家とも違う、妙な集中力が湧き出てくるのだ。
来た時には日は上にあったのに、気が付くと傾いていて、空はオレンジ色になっていた。
「小野寺ちゃんさぁ」
「ん？」
粗方やりたい事が終わり、勉強道具を片付けている時、カルマが名前を呼ぶ。
「いや、いいや」
「はぁ？なに」
感情のままに声を出すとカルマは肩を竦める。それから暫く考えて黒板の方に向かった。
「もし、来年の今日に地球が無くなるって言ったらどうする？」
立ち止まって黒板を見つめる。白と赤のチョークが残っているから、まだ彼が此処に居るのかと錯覚してしまう。
「なに、殺せんせーの話？」
「別にそういうんじゃないけど」
そう言いながらカルマは黒板に円を描いた。
「もし、このまま地球が爆発して消えたら、何が残るんだろうね」
彼はそう言ってチョークを円の中に投げ付ける。勿論、壊れたのは地球ではなくチョークだ。
「何が言いたいの？」
「んー別に？帰ろ、送ってく」
「別にいい」
「いやいや、最近不審者も多いしね」
上手く誤魔化されてしまった。1度だけ舌打ちをしたが、彼のやりたい様にさせておく。
不審者、なんて呼ばれる者は殺せんせーの情報を狙ってやって来る殺し屋の事だ。烏間さんの話によると、政府では秘密裏に殺せんせーの実験『生命の中で反物質を生成させる実験』を続けているらしい。
「最近誰かの所に来たって？」
「さぁー知らない」
カルマは相変わらずてある。さっきも何が言いたかったのか全く分からなかった。
少しずつ、何が擦れてずれていく。
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詩季(プロフ) - ハニさん» コメントありがとうございます、最近は時間が無く、長期休みにしか投稿出来ませんがまた読んでいただけたら幸いです。 (2022年3月6日 13時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
ハニ(プロフ) - ねじれの位置から一気にここまで読み進めてしまいました…！この作品、大好きです！更新頑張ってください！ (2021年9月7日 18時) (レス) id: dd382f78df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2021年9月2日 19時
