平行線が174つ ページ32
文化祭が終わって暫く。中間テストに向けて勉強を進めるという普通の日常が戻ってきた。そんな中、木曜日の6時間目で行われた席替えは、嘘だろうがと思う程のお祭り騒ぎとなってしまったのだ。
「Aちゃんと席離れるのは寂しいなぁ」
「はいはい」
1ミリも感情が籠っていない石島の言い草にも慣れてきた頃だと言うのに。お祭りの様に楽しんでいる生徒とは違い、少しだけ不安を抱く。今は紫音や石島と席が近いが、離れてしまったらどうなるのだろうか。席が離れた途端に心の距離も離れるという事は無いだろうが、新しい席で私はちゃんとやっていけるのだろうか。
周りと仲良くしなくても良いのかもしれないが、それはそれで寂しい気もする。
「そういえば、中学の時は席替え無かったかも」
「え、ほんとに？」
そう呟くと石島は驚いた声を出した。
「1.2年の時はあったけど、3年は無かった」
「まぁ、そういう先生も居るよね」
というより、うちのクラスは席替えよりも暗殺って感じだったからそこまで手が回らなかったのだろう。あの先生が席替えというイベントを逃すなんて少し意外な気とする。
「久しぶりの席替えだ、何処がいい？」
「あそこ」
指をさしたのは勿論1番後ろ。E組と同じ席である。
「やっぱり、皆彼処狙うよね」
にこにこと笑いながら答えられる。
「石島は？」
「俺？俺はAちゃんの隣」
「変な事しか言えないなんて可哀想だね」
正直な感想を告げた所で彼は怯まない。席の決め方はくじ引きになったらしい。先生がくじの紙と箱を作り上げて、皆が教卓に向かって並んでいく。
「メグも1番前からお別れの時が来たね」
彼女の後ろに並んだ私がそう声を掛けると苦笑いで返された。別にメグは1番前を嫌っている訳では無いらしい。
「去年は席替えしなかったからね」
「あれ何順だったんだっけ？」
「1月に登校した順前から詰めた筈」
「それで私は彼処だったのか」
「雪村先生よりも遅かったもんね」
「遅刻したもんね」
当然の様に後ろしか空いて居なくて、当然の様に雪村先生が指した席に座ってゲームをしていた記憶がある。
「あ、でも私よりカルマの方が遅かった」
「当たり前でしょ停学だったんだから！」
「カルマ君停学してたの！？」
私よりも後ろから聞こえてきた声に驚いて肩が跳ねた。
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詩季(プロフ) - ハニさん» コメントありがとうございます、最近は時間が無く、長期休みにしか投稿出来ませんがまた読んでいただけたら幸いです。 (2022年3月6日 13時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
ハニ(プロフ) - ねじれの位置から一気にここまで読み進めてしまいました…！この作品、大好きです！更新頑張ってください！ (2021年9月7日 18時) (レス) id: dd382f78df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2021年9月2日 19時
