平行線が163つ ページ21
私は最初の紙が置いてあった机の中のに手を突っ込んだ。中には小さな箱が入っている。それを開けてみると小さな鍵が入っていた。
「おぉ、おめでとう」
「うっわー性格わる」
思わず零してしまった。
灯台もと暗しを狙った謎解きである。無事に個室基いお城から出ると、外は順番待ちの人や7組の人で賑わっていた。
「あれ、小野寺さん」
聞こえてきた声の方向に顔を向けるとセンター分けに眼鏡をかけた竹林が居る。彼はクラスTシャツを着ているらしい。
「来てたんだ」
「すっごい意地悪な謎解きだった」
「ははっ、ありがとう」
女王様に褒められて嬉しいよ、なんてしれっと言う竹林に更なる苛立ちが湧く。
「思ったより時間掛かったな」
「前例が無い問題を馬鹿すか答えさせる所が理系だよね。これ、知ってるでしょみたいな前提がある」
悠馬の言葉に懇切丁寧な問題の解説も加えてやった。竹林は誇らしげに笑う。
「小野寺さんにお墨付きを貰えて嬉しいよ」
「褒めてない、出題者の黒いお腹が丸見えだって言ってんの」
ニヒルに笑う彼の表情は相変わらずで。ちゃんと脱出出来たのに負けた気がしてならない。
「楽しそうで何よりだよ」
竹林はそう言って私から小道具の鍵を受け取った。目を細めて睨み付けるも高笑いで返された。
その言葉を最後に、混み合っている教室の外へ出る。竹林とも其処で別れた。
「難しかった？」
「それなりに、他の人解けんの？」
「回転率は悪いな」
「駄目じゃん」
2人で笑いながら答える。それからゆっくりと流れに任せて階段を上がり、今度は私のクラスへと向かった。
「お、うちのメイドさんと磯貝くんじゃん！」
出迎えてくれたのは紫音で、彼女はクラスTシャツを着ている。
「お疲れ、どんな感じ？」
「売れ行き良いよ、もうすぐ無くなりそう」
もしかしたら、予定の時間よりも速く在庫が切れてしまうかもしれない。
「磯貝くんも買っていってよ、おすすめはあんこ」
「じゃあそれで」
オーダーが入った瞬間、パックに入っているノーマルのパンケーキを一つ出して、鍋にあるあんこをかける。
「はいどーぞ」
「400円です」
紫音の代わりに値段を言う。私が200円を取り出して紫音に渡すから、悠馬も残りの200円を渡した。
「じゃあ楽しんでね〜」
2つのフォークが渡される。ニヤニヤと笑うのが恋愛脳の紫音らしい。先刻集合した屋上に繋がる階段に腰掛けて食べる事にした。
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詩季(プロフ) - ハニさん» コメントありがとうございます、最近は時間が無く、長期休みにしか投稿出来ませんがまた読んでいただけたら幸いです。 (2022年3月6日 13時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
ハニ(プロフ) - ねじれの位置から一気にここまで読み進めてしまいました…！この作品、大好きです！更新頑張ってください！ (2021年9月7日 18時) (レス) id: dd382f78df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2021年9月2日 19時
