平行線が158つ ページ16
スマホで時間を確認してほぉ、と息を吐く。周りで楽しんでいる人達が違う世界の者に見えた。スマホに目を向けて、賑わっているE組のグループを覗く。
「お疲れ」
「ひゃっ」
その瞬間、首筋に当たる冷たい何かに背筋を伸ばした。其方に目を向けると待っていた人物が居る。
「悠馬も、お疲れ様」
首筋に当たったジュースを受け取る。既に栓は空いていた。捻ればすぐにキャップが空いた。
口に付けたオレンジジュースを飲んで、喉が渇いてた事に気付く。
「会えないかと思った」
「この人だもんな」
悠馬はそう言いながら違う世界の住民を見つめる。ガヤガヤと何を言っているのか聞き取れない校内は新鮮だ。ペットボトルの蓋を締め終わると悠馬は此方を向いて笑っていた。何、と首をかしげると更に目を細める。
「可愛い、似合ってるよ」
「悠馬の可愛い程信用出来ない物は無いから」
左手で払って歩き始める。彼もその手を握って一緒に歩き始めた。
「酷いなぁ」
「事実を述べたまでだよ」
彼の顔を見ながらそう伝えると唇を尖らせて拗ねてしまった。その表情が面白くてケラケラと笑う。
「なんだよ」
「いや、悠馬も可愛いよ」
「あ、本当だ。あんまり信用出来ない」
「酷いなぁ」
彼のクラスは脱出ゲームをやっている様で、此方も同じく何人かコスお売れ要員に駆り出されたらしい。その1人が悠馬で、彼は執事のコスプレをしている。呪われたお城から脱出するらしい。
「どっか行きたい所ある？」
開けたところに出てからパンフレットを開いて端っこに寄る。パラパラと捲りながら、各クラスの出し物を確認する。
「悠馬の所も行きたい」
「Aには簡単かもしれないけど、それども良いなら」
でもその前に、悠馬はにっこりと笑って自分の行きたい所を示した。
『彼女達は、必ず7人で行動する。
四国地方及び中国地方に伝わる亡霊の集団または荒神や祟り神、7人ミサキをご存知だろうか。
彼女達は必ず7人で行動する。
常に七人で行動する怨霊で、七人ミサキに出会った者は高熱に見舞われて死亡すると言われている。取り殺された者は新たなミサキのメンバーとなり、古参のメンバーから成仏していくというシステムになっているので、七人ミサキの人数が7人から増減する事は絶対にないと言われている。
この教室は、その7人ミサキが出没すると噂されているのだ』
場所はお化け屋敷。パンフレットを見た時から行きたかったらしい。
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詩季(プロフ) - ハニさん» コメントありがとうございます、最近は時間が無く、長期休みにしか投稿出来ませんがまた読んでいただけたら幸いです。 (2022年3月6日 13時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
ハニ(プロフ) - ねじれの位置から一気にここまで読み進めてしまいました…！この作品、大好きです！更新頑張ってください！ (2021年9月7日 18時) (レス) id: dd382f78df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2021年9月2日 19時
