平行線が155つ ページ13
前途多難かと思われたパンケーキ作りも無事に終わり、この日のロングホームルームは試食会となった。昼休み中に家庭科室でそれぞれのパンケーキを人数分、ミニサイズで作ってソースを掛けた物を持っていく。
良い匂いに誘われて皆が笑顔になるから、それだけで満足だった。
「んぅ、美味しい！」
紫音が桃のコンポートのパンケーキを口に入れて幸せそうに言う。私は目を細めて呆れているポーズを作った。
「紫音はなんでも食べる雑食だからね」
「ひっどー」
ケラケラと笑ってやると、彼女はもっと怒ってきた。
「これも美味しいね、あんこは自分で？」
「うん、パンケーキの甘さを考えながら作ったから」
小倉のパンケーキを食べる石島に聞かれたから、素直に答える。あんこは今回、かなり拘ったから感想を言ってくれるのは嬉しい。
「商品は大丈夫そうね、問題は…」
メグがいちごチョコのパンケーキを食べながら目線を這わせる。その先には山となったメイド服が置いてあった。
「着たくないって子が居るから」
「あぁ、お可哀想に」
私はどうせ当日もキッチン担当なので、メイド服は関係無い。だから他人事の様に手を合わせた。
「アンタも着るのよ」
「えっ！？」
メグの発言に大きな声が漏れる。
「私！キッチン！作った人！」
「誰でも作れるように簡単にしたんでしょ？」
「いやいやいや、でも居た方が良いでしょ」
「顔だけは良いんだからちゃんとしな」
「接客とか無理！」
「服着て看板持って立ってるだけで良いから」
こんな所で裏切られるとは思っていなかった。私は思い切りメグを睨む。だが彼女はそれも予想済みだったようで鼻で笑われるだけだった。
「頑張ろーねぇ」
隣で紫音が肩を組んでくる。
嵌められた。
私はそう直感して溜め息を吐いた。
「良いじゃん、可愛い物好きでしょ？」
「好きだけど」
コスプレまがいな事をしたい訳では無いのだ。私の全力の訴えは届く間もなく棄却された。
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詩季(プロフ) - ハニさん» コメントありがとうございます、最近は時間が無く、長期休みにしか投稿出来ませんがまた読んでいただけたら幸いです。 (2022年3月6日 13時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
ハニ(プロフ) - ねじれの位置から一気にここまで読み進めてしまいました…！この作品、大好きです！更新頑張ってください！ (2021年9月7日 18時) (レス) id: dd382f78df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2021年9月2日 19時
