平行線が103つ ページ9
紫音は少し目線を落としてごめん、と謝ってきた。仮にもあれが私達の先生だったのだと分かってくれたらしい。
「元々殺せんせーは実験として作られた細胞を入れられた人間だったんだ」
「だけどその実験は失敗、放置しておくと地球が爆発する程の威力を持つ物へと変化していった」
「だけどそれは、僕等の仲間が作った薬で1パーセント以下に抑えられた筈だった」
渚と私が交互に説明する。紫音はそれに小さく頷いた。
「結果は報道の通り、1パーセントなんて宝くじよりも高い確率なんて誰も信じない。誰かに殺られる前に、俺等が殺した」
カルマは塀に背中を押しつけたままそう言った。以前、悠馬が独占欲と言っていたのを急に思い出す。
「死んだ奴の話をしてもしょうがない、これからの事を考えるべき」
私はそう言い切る。2人共何か言いたそうに此方を向いたが無視で通した。
「殺せんせーの実験を継続させようとしてる奴が居る。だから材料として烏間さんを始めとするE組生徒が狙われている。それだけの話」
紫音に分かりやすく説明すると、彼女はまた小さく頷いた。
「私にとって只の三日月だったのが、Aにとっては今も着いてくる物だったんだね」
私にその返事は出来なかった。あれの存在を知りたくもない人が知る必要は無い。だが私達にとって、あの三日月と過ごした1年間は特別だったのだ。白い月を見上げながら細い深呼吸をする。
「あ、来るね」
渚がそう言った瞬間、閑静な住宅街に車の音が揺れる。私たちの前で止まった車からは案の定烏間さんが降りてきた。
「君達！怪我は？」
目を大きく開いて尋ねてきたから、彼の心情は大方読み取れた。
「あるように見えます？」
「俺達、暗殺の成績トップ3だよ」
私とカルマが順にそう言うと渚も苦笑いをしていた。烏間さんも安堵の笑みを浮かべる。
「此奴等か」
「うん、小野寺ちゃんのお友達も顔見られたから、その辺は厳重にね」
「分かった」
カルマが烏間先生の質問に答えると、すぐに顔馴染みの人達が地面に倒れている男達を回収した。
「君は大丈夫か？」
烏間先生が紫音を見ながら尋ねる。彼女は又もや小さく頷くだけだった。どうやら新しく来た強面の男にビビっているらしい。
「大丈夫ですよ、紫音は心臓強いから」
「はぁ？か弱い乙女だわ」
「か弱い乙女は悠馬をハッタリ飛ばして手玉に取ろうとか思わないよ」
「すっごい、心に響く」
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詩季(プロフ) - のらさん» コメントありがとうございます。更新は、また停止すると思いますが、時間がある時に書いていこうと思います。ねじれの位置は平行線と対照的に、夢主の感情が後ろに向いている気がします。だから切なくなってしまうのかもしれませんね。 (2021年8月27日 20時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
のら(プロフ) - 更新が再開されて嬉しいです。時々ねじれの位置も読み直しますが、毎度なぜか切ない気持ちになるくらいには好きな作品です。応援してます^^* (2021年8月27日 0時) (レス) id: bbe0e38a06 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 詩季さん» そう言ってもらえて嬉しいです...！ありがとうございます！ (2021年8月26日 10時) (レス) id: 532289bdd0 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» 此方こそ、続編にいかせてもらいありがとうございます。寧ろ評価して下さりありがとうございます。この作品は特に評価を気にしていないので、手間をかけてくださるだけで十分です。本当にありがとうございます。 (2021年8月26日 1時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 続編すごく嬉しいです！それとごめんなさい、評価10を押そうとしたら9押しちゃいました....本当に申し訳ありません！！！ (2021年8月25日 0時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2021年8月24日 19時
