平行線が131つ ページ37
「また磯貝もメグも此奴の味方する！」
彼女は大きな声で言い放つ。
「別に味方してるって訳じゃない。あの子は人を怒らせる天才だから、事情を聞こうとしてるだけ」
悠馬と一緒になって参入してきたメグが三ヶ島京子を宥めようとする。だが彼女の怒りは治らない様で、下を向いた私に何度も怒鳴り付けて来た。
「三ヶ島も１回落ち着いて。そうしないと話し合えないから」
隣から柔らかい声がする。その声に絆されたのか、三ヶ島京子はスンと黙った。
「ありがとな」
悠馬は黙った三ヶ島京子にそう伝える。一旦は落ち着いた廊下に3回だけ足音が響く。
「Aも、大丈夫だから顔上げて。
アンタは只でさえ勘違いされやすいんだから」
メグに言われて顔を上げる。目が合う事は無かった。頭の血が一気に下に降りて、しかしが黒と白でチカチカする。
「別になんもない、勝手に私がキレただけ」
「その原因がAにあるんでしょ？」
メグがすかさずフォローを入れるが相手は何も言わない。ふいっと背中を向けてしまう。私も目線だけ下にやって、浅い呼吸を何度も繰り返した。
「……ごめん」
出た声は掠れて、ミイラにでもなった気分だ。隣にいた悠馬が私の膝の上にある手を握る。その手を握り返す事は出来なかった。
「アンタ、何に対して謝ってんの？」
三ヶ島京子はグッと低い声を出したから、心臓に直にその声のナイフが刺さる。繋がれていない方の手を心臓に当てる。
「私が、ちゃんとしてないから」
3年E組のあの木星の校舎が、どれだけ温かい場所だったのか思い知らされる。あの場所で一先ずメンタルケアを、と理事長が言ったのも頷ける。高校にでて、自分の周りの敵の多さに驚くばかりだ。
「何それ、意味分かんない」
三ヶ島京子はそれだけ言った。それから深く溜め息を吐く。
「A、もしかしてまた菜摘ちゃんに見られてるの？」
私の耳元で、私にしか聞こえない様に彼は囁いた。どうして分かるのだろうか。息を止めてしまったから、彼はそれが正解だと分かってしまった。
「ごめんな三ヶ島。A、あんまり人と話すの上手じゃないからこっちが汲み取らないといけない部分が多いと思う。だから余計に傷付けたよな」
悠馬がそう言うと、彼女は更に複雑そうな顔した。
「それも、磯貝に言わせるんだ」
そう言って彼女は帰ってしまう。本当にその通りだ。
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詩季(プロフ) - のらさん» コメントありがとうございます。更新は、また停止すると思いますが、時間がある時に書いていこうと思います。ねじれの位置は平行線と対照的に、夢主の感情が後ろに向いている気がします。だから切なくなってしまうのかもしれませんね。 (2021年8月27日 20時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
のら(プロフ) - 更新が再開されて嬉しいです。時々ねじれの位置も読み直しますが、毎度なぜか切ない気持ちになるくらいには好きな作品です。応援してます^^* (2021年8月27日 0時) (レス) id: bbe0e38a06 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 詩季さん» そう言ってもらえて嬉しいです...！ありがとうございます！ (2021年8月26日 10時) (レス) id: 532289bdd0 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» 此方こそ、続編にいかせてもらいありがとうございます。寧ろ評価して下さりありがとうございます。この作品は特に評価を気にしていないので、手間をかけてくださるだけで十分です。本当にありがとうございます。 (2021年8月26日 1時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 続編すごく嬉しいです！それとごめんなさい、評価10を押そうとしたら9押しちゃいました....本当に申し訳ありません！！！ (2021年8月25日 0時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2021年8月24日 19時
