平行線が119つ ページ25
私が以前、高嶺の花と呼ばれている事を冗談で話したのを覚えていたらしい。先生もまさか保護者の口から出るとは思わず驚いている。
「良いじゃん、可愛いって事でしょ？」
「普通、先生の前でそんな事言いませんよ。それにあれは悪口でしょ」
「まぁそうなんだけどさ」
翼さんは少し拗ねた顔を見せる。先生も困り果てている。すみません、この人結構呑気なんです。
「それは兎も角、クラスの子ともう少し打ち解けるよう頑張りましょう」
そう言われると、私は何も言えなくなる。先生の言う事は間違っていない。だが私からすれば、テストで全問正解をするよりも難しい事なのだ。
「でもAには、クラスにお友達が居ますよね？」
翼さんは静かにそう言った。確かに、メグをはじめとして紫音や石島、高野も志倉も友人だと思っている。だがそれ以外の人間とは全く話さないのだ。
「えっ……？」
それは知らないらしい。普通の担任の先生なんてそんな物だ。
「クラスの子全員と仲良くというのは、申し訳ありませんがAには時間が掛かるんです。
でもその分、1人1人がどういう性格で、何が得意なのかを見るのが上手な子なので、もう少し待ってあげて下さい」
翼さんがそういうと、返す言葉がなくなってしまった担任の先生は頷くしかなかった。
それにしても、翼さんが其処まで言ってくれるとは驚きだ。彼も私の事をよく見てくれている。
「あ、それと進路の話ですが……」
潔く話をすり替えてきた。怒られる前に違う話にするのは如何にも最近の先生だと実感する。彼が慌てている間に私と翼さんはアイコンタクトを取った。してやったり、そんな顔をする。
「Aさんだと、東杏大学とかもいけるのでは？」
翼さんがどうするの、といった形で此方を向いた。私は首を横に振る。
「翼さんが頭の良い大学行って欲しいなら行きますけど」
「別に頭が良いとかは拘ってないよ？」
「まぁ今勉強してるのもカルマに負けたく無いだけって所ありますからね」
実際、馬鹿にならなければ1位でなくても良いのだ。真ん中より少し上の程度で。
「じゃあ、具体的には？」
先生は恐る恐る尋ねる。私は翼さんの方を見た。
「専門かなぁ、とはお互いなんとなく。パティシエさんになりたいらしいので」
「えっ！勿体無い！」
普通に考えればそうなのだろう。高校側としても大学進学率を上げたいという気持ちもあると思う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 228人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩季(プロフ) - のらさん» コメントありがとうございます。更新は、また停止すると思いますが、時間がある時に書いていこうと思います。ねじれの位置は平行線と対照的に、夢主の感情が後ろに向いている気がします。だから切なくなってしまうのかもしれませんね。 (2021年8月27日 20時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
のら(プロフ) - 更新が再開されて嬉しいです。時々ねじれの位置も読み直しますが、毎度なぜか切ない気持ちになるくらいには好きな作品です。応援してます^^* (2021年8月27日 0時) (レス) id: bbe0e38a06 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 詩季さん» そう言ってもらえて嬉しいです...！ありがとうございます！ (2021年8月26日 10時) (レス) id: 532289bdd0 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» 此方こそ、続編にいかせてもらいありがとうございます。寧ろ評価して下さりありがとうございます。この作品は特に評価を気にしていないので、手間をかけてくださるだけで十分です。本当にありがとうございます。 (2021年8月26日 1時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 続編すごく嬉しいです！それとごめんなさい、評価10を押そうとしたら9押しちゃいました....本当に申し訳ありません！！！ (2021年8月25日 0時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2021年8月24日 19時
