平行線が110つ ページ16
夏休みの始まりを告げるのは、いつだって終業式である。この暑さの中、生徒を体育館に集めるのは如何な物かと抗議したくなるが、サボるとメグが怒るので静かに列に並んでいる。
しかし、頭の中は夏のコンクールの事で頭がいっぱいだった。
3年生はチームになってお菓子の技術を競う大会なのだが、私達1.2年生は少し違う。コンクール用のお菓子というよりは普通のお菓子を作って、購入された数を競うという物だ。
勿論、本当の金銭を使うのではなく、来場者に配布されるチケットを使う。一般の方が来るからこそ、番人受けしやすいお菓子を作らないといけないのだ。
例えば分かりやすい物で言うならクッキーだろうか。しかしそれだとお本当に他コンクールに出られるレベルなのか分からない。だからそこそこの華やかさも必要になってくる、気がする。
「A、ちゃんと起きてる？」
「死んでる」
メグから持ちかけられたコソコソ話はその一言で終わった。
暑い。
頭の血が一気に引いた。
「あ、ちょっとA!?」
δ
というのが、約30分前の話らしい。
目が覚めると暑さを凝縮させて固めた体育館から冷房が効いて涼しい保健室へと移動させられていた。
「あ、起きた？」
「…なんでいるの？」
其処に居るのはメグではなくて何故か悠馬だった。
「心配だったから、相変わらず暑さに弱いな」
貧血と熱中症が重なったのだろうと、勝手に推測する。中学の時は殆ど集会に出ていなかったから、長時間立って話を聞くという行動に体が慣れていないのだ。
悠馬が渡してきたペットボトルは既に蓋が空いていた。だから起き上がってそれを受け取り、ゆっくりと水分を体に流していく。
「ん、ありがと」
「どういたしまして」
それからまたカーテンの奥に揺れる影を見つめる。明日から夏休みらしいのに、去年の様なワクワク感が無い。
去年と違って部活の事も考えているからだろうか。
「どうしたの？」
「ん？」
隣に居る彼は、そんな私の顔を察して話し掛けてくる。彼は本当に他人の感情を汲み取るのが上手い。
「夏休みかぁって」
「だな、なんか予定ある？」
「プール行くらしいよ、校外学習の班で」
明らかに大丈夫なのって顔をしてきた。私だって行きたくて水辺に行くのでは無い。全力で首を横に振った。
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詩季(プロフ) - のらさん» コメントありがとうございます。更新は、また停止すると思いますが、時間がある時に書いていこうと思います。ねじれの位置は平行線と対照的に、夢主の感情が後ろに向いている気がします。だから切なくなってしまうのかもしれませんね。 (2021年8月27日 20時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
のら(プロフ) - 更新が再開されて嬉しいです。時々ねじれの位置も読み直しますが、毎度なぜか切ない気持ちになるくらいには好きな作品です。応援してます^^* (2021年8月27日 0時) (レス) id: bbe0e38a06 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 詩季さん» そう言ってもらえて嬉しいです...！ありがとうございます！ (2021年8月26日 10時) (レス) id: 532289bdd0 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» 此方こそ、続編にいかせてもらいありがとうございます。寧ろ評価して下さりありがとうございます。この作品は特に評価を気にしていないので、手間をかけてくださるだけで十分です。本当にありがとうございます。 (2021年8月26日 1時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 続編すごく嬉しいです！それとごめんなさい、評価10を押そうとしたら9押しちゃいました....本当に申し訳ありません！！！ (2021年8月25日 0時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2021年8月24日 19時
