平行線が105つ ページ11
太陽が真上を超えて暫くしてから歩いたのは、久しぶりの住宅街だった。知っている景色と知らない景色があって、1人で歩くのはドキドキした。
インターホンに触れる前に、そっと向かいの家を見る。私が住んでいた時とは、姿形がまるで違う家になっていた。
「お、タイムリー」
そう言われて視線を反対側に移すと、悠馬が大きなカバンを持って手を振ってきた。私もそれに合わせて振り返す。私の代わりに悠馬がインターホンを押した。
「へいらっしゃい」
「いつからラーメン屋になったの？」
インターホン越しの声に思わず反応してしまった。すぐ様開いた扉の先にはキャメルの髪の毛が揺れる。
「よっ」
「ども」
「こんにちは」
三者三葉、何も変わらない私達の挨拶だった。
陽斗の家に集まって、勉強会をしようと言い出したのは勿論陽斗で、それなら夕飯も食べていって欲しいと言ったのは陽斗のお母さんだった。
勉強会の理由も明白である。期末テストだ。
2階の陽斗の部屋に上がってそれぞれの勉強道具を広げる。暫くは全員黙って勉強していたが、最初に音を上げたのも陽斗だった。
「もーわっかんね！」
「相変わらず理解力は低いようだね陽斗君」
「勉強しなくてもそこそこ点の取れる化物と一緒にすんなよ」
「ごめんねオール満点目指してて」
そう茶化しながらも私は陽斗が解いていた数学のワークを自分の寄せる。
「はぁ？これ中学でやったじゃん」
「はぁ？覚えねーよ」
「此処をAに置き換えて因数分解、はいさよなら」
それだけ言うと陽斗も分かってくれたらしく、3度頷いて問題を解き進める。
「…小野寺先生」
「なんですか磯貝君」
まさかの所から質問が飛んで驚きながらも良い譲りネタが出来てニッと笑う。
「このべしの活用はどれと同じでしたっけ」
「23ページ12行目」
あまりの面白くなさに即答してしまった。意味は分かってるけど探しきれないというアレに私は使われたらしい。
「お前、もっと面白みのある質問しろよ」
陽斗にも言われている。
「質問に面白みも何も無いだろ」
「そうだよ、悠馬が面白くないのは元からじゃん」
「え、A？え？」
勉強会は日が沈むまで続いた。
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詩季(プロフ) - のらさん» コメントありがとうございます。更新は、また停止すると思いますが、時間がある時に書いていこうと思います。ねじれの位置は平行線と対照的に、夢主の感情が後ろに向いている気がします。だから切なくなってしまうのかもしれませんね。 (2021年8月27日 20時) (
レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
のら(プロフ) - 更新が再開されて嬉しいです。時々ねじれの位置も読み直しますが、毎度なぜか切ない気持ちになるくらいには好きな作品です。応援してます^^* (2021年8月27日 0時) (レス) id: bbe0e38a06 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 詩季さん» そう言ってもらえて嬉しいです...！ありがとうございます！ (2021年8月26日 10時) (レス) id: 532289bdd0 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» 此方こそ、続編にいかせてもらいありがとうございます。寧ろ評価して下さりありがとうございます。この作品は特に評価を気にしていないので、手間をかけてくださるだけで十分です。本当にありがとうございます。 (2021年8月26日 1時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 続編すごく嬉しいです！それとごめんなさい、評価10を押そうとしたら9押しちゃいました....本当に申し訳ありません！！！ (2021年8月25日 0時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2021年8月24日 19時
