平行線が93つ ページ47
その日の6限は平常通り行われたから私もしっかりと授業に参加する。だが部活は辞退する事にした。
「送ってくよ」
私は首を横に振る。
「翼さんに迎えに来て貰う」
6限が始まる前に連絡した我儘はすんなりと受け入れられて車で迎えに来てくれる事になった。
それでも結局悠馬は翼さんとの待ち合わせ場所で車が来るのを一緒に待っていてくれた。彼のその優しさが今は少しだけ痛い。
「おかえりA、悠馬君もこんにちは」
「ただいま」
「こんにちは」
車の窓越しにそう挨拶したら、今度は私がお礼と別れの挨拶を告げて、助手席に座る。
「以前、手紙が来るってお話しての覚えてますか？」
「全部悠馬君に回収される奴」
「そう、それ」
私は静かな車内で小さく笑う。
「それ、姫香だったんです」
「姫香ちゃんって、チア一緒だった？」
「そう」
翼さんは進行方向を見ないといけないから私の顔は見ない。
「今日、階段から突き落とされちゃいました」
翼さんは黙ってしまった。心配を掛けてしまったと反省する。
「怪我は無いんだよね？」
「あ、はい」
「良かった。姫香ちゃんを怒りに行かないとだったよ」
茶化していたが、もし私が怪我をしていたら本当に彼は姫香の所に行くつもりだ。大事にされているのだと改めて気付く。
「もし怪我してたら、悠馬君が連絡くれるしね」
「いつの間に交換してたんですか、いつの間に仲良くなってるんですか」
時折、彼は私よりも私の友人と仲良いのでは無いかと心配になる。
「だから学校生活はそんなに心配してないよ。Aは心配してるの？」
翼さんははっきりと私に伝えてきた。
「しんぱい、かも」
小さくそう呟くと、翼さんは頷いてくれた。
「悠馬も居るし、メグも竹林も居るし、別に平気っていうのは分かっているんですけど」
「うん」
「でも、やっぱり他の人と仲良くするのは…心配」
「そっか」
翼さんがわざと遠回りをして帰ってくれている事に、私はやっと気が付いた。
「無理に、仲良くならないと駄目？」
「先生に言われました」
正直に告げると、彼はうーんと唸る。
「私には私のペースがあるんですぅ、って事でどう？」
声を高くして言った翼さんが面白くてつい笑ってしまった。
「それ、私の真似ですか？」
「そう、似てる？」
「んー５i点って所ですかね」
「高校生は難しい採点方法を取るなぁ」
クラスの子や周りの人間と無理に仲良くする必要は無い、と翼さんが言ってくれたお陰で少し気持ちが楽になった。
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夜空 -Night Sky-(プロフ) - 詩季さん» そうですね、せっかくなら暇な時に1話から読み直させていただきます！ (2021年8月25日 0時) (
レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» コメントありがとうございます。取り敢えず、話が途中な所は終わらせようと思って其処まで書いてみました。また3日かけて読んで頂けたら幸いです笑笑 (2021年8月24日 19時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - Rin?^^*さん» ご感想ありがとうございます。停止期間まで読んで頂けるとは、恐縮です。ありがとうございます。 (2021年8月24日 19時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - あんぶれらさん» ご感想ありがとうございます。平行線は私の趣味100%で書いているので、楽しんで貰えるなら嬉しいです。ありがとうございました。 (2021年8月24日 19時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 更新ありがとうございます！作者さんが暇なときで構いませんので続編を書いていただけると嬉しいです！ (2021年8月24日 3時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2020年10月3日 20時
