平行線が66つ ページ20
何に対しての感謝なのか、私にはさっぱり理解出来なかったから何も返さない。只彼は、私宛てに書かれた手紙を小さく折り畳んで自分の学ランのポケットに入れた。これを悠馬が持っていて何になるのだろうか。
「チア服、似合ってるよ」
「そう」
此奴はまたすぐ適当な事を言って話を逸らす。素っ気なく返すと相手もまた愛想笑いだけをした。それからトン、と私の指に触れる。
「もうすぐ昼休み終わるね」
「あぁ」
「同じ白団で良かった」
「本当にな」
「間違って悠馬を倒す所だった」
「負けたくないなぁ」
悠馬の手を握る。大きくて暖かい彼の手は何度も握った筈なのに未だに慣れずに安堵を覚える。誰もこんな所に来ないから安心して1歩近付けた。
「好きだよ」
「俺も好きだよ」
それが最後だった。絡めた手を離して私は階段を降りて行く。
δ
教室に帰るともう人数は半数位しか居なかった。昼食を食べ終えて外に出てしまったのだろう。しかしまだメグと姫香は教室の前の方で固まっていた。
「何処行ってたの！」
耳を劈く様な大声を出したのは勿論メグだ。彼女は何かと私の所在を気にする。
「密会」
それだけ言って私は手元にある1枚のルーズリーフをファイルの中に入れた。それを見てメグは頭を抱えて溜め息を吐き出す。
「誰と会ったの？」
「言わないから密会なんだって」
姫香の素っ頓狂な疑問に私は答える。閉まったファイルの代わりにお菓子のポーチを取り出して来た道を帰って外に出ようとする。
「いやいやいや、待って待って」
メグが腕を引っ張る。
「もう出ないと拙くない？」
「うんそうなんだけどさ」
メグの真っ直ぐな瞳を見て首を傾げる。今そんな表情で腕を掴まれる覚えはない。彼女は私の方へ1歩近付いて耳元に唇を寄せた。
「アンタ、私に言ってない事あるよね？」
「は？」
意外な言葉に声を漏らす。彼女から離れて様子を伺った。
話してない事は勿論ある。昨日の夕飯のメニュー、いつもより10分早く起きた事とか。しかしそれは差程大事では無いからだ。眉を寄せて真意を尋ねるが彼女も1歩も譲らないらしい。
「知らない、行くよ」
正直に告げて私はメグから顔を背けた。姫香もオドオドしながら私の後ろに着いて来る。メグの呆れの溜め息が後ろから聞こえて、すぐ様彼女の大きな足音が近付いて来た。
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夜空 -Night Sky-(プロフ) - 詩季さん» そうですね、せっかくなら暇な時に1話から読み直させていただきます！ (2021年8月25日 0時) (
レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» コメントありがとうございます。取り敢えず、話が途中な所は終わらせようと思って其処まで書いてみました。また3日かけて読んで頂けたら幸いです笑笑 (2021年8月24日 19時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - Rin?^^*さん» ご感想ありがとうございます。停止期間まで読んで頂けるとは、恐縮です。ありがとうございます。 (2021年8月24日 19時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - あんぶれらさん» ご感想ありがとうございます。平行線は私の趣味100%で書いているので、楽しんで貰えるなら嬉しいです。ありがとうございました。 (2021年8月24日 19時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 更新ありがとうございます！作者さんが暇なときで構いませんので続編を書いていただけると嬉しいです！ (2021年8月24日 3時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2020年10月3日 20時
