平行線が60つ ページ14
奴がどういう登場の仕方をするかは皆目検討が付かないが、それは私達の認識と違う物になるのは確かだった。
「俺としては、君達の方がちゃんと伝えられると思うんだがな」
「珍しいですね、烏間さんが冗談を言うなんて」
国の命令には従え、彼奴は化物だ。
そういう気持ちを込めて言った。
「それについてなんだが」
「……はい？」
烏間先生は後で元E組のメンバーには後で一斉送信をするつもりだ、という前置きをしてから話し始めた。
「最近''不審者''が出るんだ」
私達の言う不審者とは本当の不審者では無い。否、ある意味不審者なのだが。正確には殺し屋だ。
「其奴が奴の研究に手を出しているらしい」
奴、柳沢の触手の研究によってとある殺し屋は触手の付いた怪物となってしまった。それが1年と少し前の話だ。それからも柳沢は少数の人間に触手を植えて密かに実験を重ねていたが、彼は卒業式の前日に私達の先生によって退場させられた筈だ。それに。
「その研究って確か使えない事になったんじゃ無いんですか？」
私達が卒業してからすぐ、その事が決まって政府が公表した。
「あぁ、研究材料に値するから公には使用不可と言ったんだ」
烏間さんの答えに目を細めて黙る。
「あれは政府が研究して名前を変えて研究成果を話す事になった。だから世間には使用不可と伝えたんだ」
情報操作。政府というか、地位の高い人間がやる行為の1つだ。表情1つ変えない烏間さんを睨み付ける。
「どうして教えてくれなかったんですか？」
答えにくい質問だとは思う。しかし、私達元E組の生徒にはその情報を知る権利がある。
「悪かった」
烏間さんは答えない。大人だから。政府の人間だから。私は彼を瞳で捉えたまま離さなかった。重たい空気が漂う刹那、とある爽やかな声がそれを終わらせる。
「えっ、烏間さん？」
ハッとして2人で振り向いた。其処に居たのは元E組のクラス委員で、現7組学級委員長の磯貝悠馬だ。
「久しぶりだな」
「お久しぶりです、どうして此処に？」
悠馬が私と同じ質問するから、烏間さんも丁重に答える。しかし今度はあの先生の話はしなかった。それに意図があったのか面倒だったのかは分からない。
「じゃあ私はこれで」
それだけ言って逃げる様にその場から離れる。悠馬と一緒に居る自分を烏間さんに見られるのも、烏間さんと重たい雰囲気になってしまった事を悠馬に察されるのも、嫌だった。メグの元へ帰る途中、烏間さんを見つけた竹林とすれ違った。
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夜空 -Night Sky-(プロフ) - 詩季さん» そうですね、せっかくなら暇な時に1話から読み直させていただきます！ (2021年8月25日 0時) (
レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» コメントありがとうございます。取り敢えず、話が途中な所は終わらせようと思って其処まで書いてみました。また3日かけて読んで頂けたら幸いです笑笑 (2021年8月24日 19時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - Rin?^^*さん» ご感想ありがとうございます。停止期間まで読んで頂けるとは、恐縮です。ありがとうございます。 (2021年8月24日 19時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
詩季(プロフ) - あんぶれらさん» ご感想ありがとうございます。平行線は私の趣味100%で書いているので、楽しんで貰えるなら嬉しいです。ありがとうございました。 (2021年8月24日 19時) (レス) id: dd9b659291 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 更新ありがとうございます！作者さんが暇なときで構いませんので続編を書いていただけると嬉しいです！ (2021年8月24日 3時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2020年10月3日 20時
