ねじれの位置が56つ ページ10
「生徒の未来を考えられなくて、自分の都合で動いてる人間を尊敬なんてしない。先生とは思えない」
烏間先生は、ちゃんと生徒の事を考えてくれてるって分かってる。彼等の生活を1番に考えて、学校行事を楽しませてくれる。
ビッチ先生は暗殺に関しては此方に関わらない。自分は殺し屋、そのプロ意識を持って授業に出ている。学校の先生では無いが、彼女も彼女なりの先生を務めている。
でも、あの怪物は違う。
自分を学校の先生と思い込んでる只の超生物だ。
「そっか、話してくれてありがとう」
悠馬はそう言った。驚いて顔を上げる。
怒らないの？このクラスでは考えてはいけない事を考えているんだよ？
「Aは優しいな、それによく考えてる」
遠くの空を見つめる悠馬が何を考えてるかは分からない。私は黙って彼の続きの言葉を待った。
「皆、多分そんな深く考えてないと思うよ。
あの先生を自分達以外の誰かに取られたくない、いわば独占欲だよ」
「……なんで」
「さぁ？殺った先に答えがあるんじゃないかな」
悠馬は大分適当な答えを出した。何それ、なんて思わず怒りたくなる程だ。でも、怒気は湧かない。どうしてだろう、ストンと心の中に落ちて来た。こういう事を、腑に落ちたというのだろうか。
「殺せんせーも、案外単純なのかもよ？
先生っていう職業がやりたいからなってみた、とか」
私は答えない。
悠馬はそれを分かっていて話を続けた。温かい音が冷えた体に染み込んで行く。
「Aが殺せんせーの事をどう思うかは自由だよ。でも、ちゃんと殺せんせーと向き合って欲しい。今は無理でも、いずれは。
そしたら何か変わる事もあると思うから」
顔を上げると、悠馬の困った様な笑顔が浮かんで来る。眉を八の字して笑う彼を見て、私も今出来る精一杯の笑顔を見せた。
「やっと笑った」
「うん」
「ずっと、泣きそうな顔してたから心配してたんだぞ」
「ごめん」
両手で両頬を挟まれてグリグリと動かされる。頬の筋肉がこんなに動くのは久しぶりだ。
「泣いてた？」
悠馬はもう1度私に同じ問いをぶつける。
「泣いてるよ、馬鹿」
私は笑いながらそう答えた。
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Rion - これからも陰ながら応援し続けさせて頂きます！！ (2020年3月14日 9時) (
レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
Rion_ - ねじれの位置が88つ。のお話のカルマ君のセリフの1部である「気絶する程度の触手は喰らうけど」というセリフが「気絶すふ」になっていました。 (2020年3月14日 9時) (レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
Rion - とても、楽しく読ませて頂いております！！読んでいて、1部誤字と思われる箇所を発見いたしましたのでお節介かもしれませんがお伝えさせていただきます。 (2020年3月14日 9時) (レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2020年2月23日 2時
