ねじれの位置が88つ ページ42
さて、作戦実行だ。
下に降りた寺坂は大きな声を出して注目を集める。私は棒キャンディをポケットから取り出して舐めた。檸檬の味が唾液で溶ける。
「寺坂君か、近くに来たら危ないよ？」
シロは愉しそうにそう言った。だがそんなの関係無い。青筋を立てる寺坂はシロ相手に喧嘩を売る。
「よくも俺を騙してくれたな」
「まぁそう怒るなよ、ちょっとクラスメイトを巻き込んじゃっただけじゃないか」
…ちょっと？
クラスの殆ど全員を流して溺れさせて。未遂に終わった物の、彼は大量殺人犯の計画犯にまでなったのだ。有り得ない。
「うるせぇ！！テメーらは許さねぇ！」
寺坂は指示通りシャツを脱ぐ。それから自分の前に出した。
「イトナ！テメェ俺とタイマン張れや！！」
「止めなさい寺坂君！！君が勝てる相手じゃない！！」
普通はそう思う。タコの言う事も一理あるだろう。だがしかし、寺坂が馬鹿で救いようの無い阿呆でも私達は違う。
「黙らせろイトナ」
シロはそう言った。
「カルマ君！Aさん！」
渚は焦った顔をしている。私は肩を竦めて溜め息を付く。あんなゴリラ、心配する事無いのに。
「いーんだよ、死にゃしない」
カルマは愉快そうにそう言った。私は口に入っていたキャンディの音を立てる。
「シロは生徒を殺すのが目的じゃない、生きてるからこそあの怪物の集中を削げる。だから原も攻撃対象として眼中に無い」
この作戦の意図を話していくと全員の顔色が変わった。そんな不思議な話しでも無いと思うけど。
「例え下に落ちても殺せんせーは見捨てないのは体験済みだし」
カルマは少々呆れた顔をしてそう言った。自ら地雷を踏んでいくとは思わなかった。
「だから寺坂にも言っといたよ、気絶すふ程度の触手は喰らうけど……逆に言やスピードもパワーもその程度。
死ぬ気で喰らい付けって」
胃の衝撃で唾液を吐いた寺坂は余裕そうに笑っていた。私は中指を立てて嘲笑する。
「クリーンヒット」
当たったのはどっちかな？
「よく耐えたね。ではもう1発あげなさい」
そう言ってる最中、堀部イトナに異常事態が起きた。
「くしゅん！」
驚いて首を傾げるシロに私は牙を向く。
「寺坂の腹に攻撃を加えたんじゃない、アンタが勝手に自分で作った変な薬を貰いに行ったんだ。自業自得だね」
気付いた彼はハッとして此方を見た。馬鹿が、鼻で笑ってやると初めて顔を怒気に染める。
滑稽だな。
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Rion - これからも陰ながら応援し続けさせて頂きます！！ (2020年3月14日 9時) (
レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
Rion_ - ねじれの位置が88つ。のお話のカルマ君のセリフの1部である「気絶する程度の触手は喰らうけど」というセリフが「気絶すふ」になっていました。 (2020年3月14日 9時) (レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
Rion - とても、楽しく読ませて頂いております！！読んでいて、1部誤字と思われる箇所を発見いたしましたのでお節介かもしれませんがお伝えさせていただきます。 (2020年3月14日 9時) (レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2020年2月23日 2時
