ねじれの位置が68つ ページ22
「…おい、父ちゃんの授業を何サボってんだ？」
ヤバい、足が動かない。目の前まで来て、手を伸ばされた瞬間、やっと足が動いた。
それからは必死で教室の手前のドアまで机の上を走って行く。すると窓から其奴も入って来た為、私は最後の机を蹴り飛ばして奴の退路を塞いだ。
向かうのは職員室。図体がデカい奴は小回りが効かない。勿論付いて来る彼奴に紙類をばら撒いて滑りやすくする。文房具をバランスを崩した彼奴に投げ付けた。それから窓を跨いで外に出ようとした刹那。
「うぐっ……！」
追い付かれた。ブラウスの襟を掴まれて無理矢理グラウンドへと連れて行かれ、地面に無理矢理降ろされると同時に殴られた。
「Aッ…！」
遠くから悠馬の声がする。私は起き上がって口元に付いた血を拭って其奴の顔を睨み付ける。
「なんだその目は、父ちゃんに逆らうのか？」
家族を強制する人間が嫌いだ。
「私に父親なんて居ない」
相手の無けなしの理性が壊れる音がした。これで殴られるならそれで良い。殴られた方が余程楽だ。諦めて肩の力を抜き、目を瞑った。
「やめろ鷹岡っ！」
第三者の声がして、思わず目を開ける。其処に居たのは烏間先生。
神崎と前原陽斗の怪我の容態を確かめる先生を特に何かを思う訳でも無く眺めていた。
「小野寺さんは？」
急に此方に振られて肩が上がる。悠馬も気付いたのか前原陽斗から離れて私の背中に手をやった。
「大丈夫です」
私はしれっと言葉を返す。本当に、なんて疑って来る悠馬にもう1度頷いた。
「ちゃんと手加減してるさ烏間、大事な俺の家族だ。当然だろ」
吐き気がする。思わず口元を抑えて前屈みになった。
「お前は今の内に抜けて休んで来い、帰れそうなら帰った方が良い」
私の体制合わせて支えてくれる悠馬はそっと耳打ちをした。首を左右に振って嫌な事を示すが聞き入れてくれない。
気持ち悪い。父親だと嘯く彼奴も、先生だと嘘を付く彼奴も、寒気がする。
「分かった、此処に居て良いからとにかく落ち着け」
呆れた声を漏らす悠馬にとうとう嫌われてしまったのだろうか。口元を抑えていない手でぎゅっと胸元を掴んだ。
「でも無理はしない事、良いな？」
そう言ってまた優しく笑い掛けてくれた。良かった、嫌われて無い。
「烏間先生、後お願いします」
授業再開の兆しが見えた為、悠馬は此方をずっと見ていた烏間先生に小さな声でお願いする。速やかに彼は此方に近付いて来て立てるか、と手を伸べてくれた。
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Rion - これからも陰ながら応援し続けさせて頂きます！！ (2020年3月14日 9時) (
レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
Rion_ - ねじれの位置が88つ。のお話のカルマ君のセリフの1部である「気絶する程度の触手は喰らうけど」というセリフが「気絶すふ」になっていました。 (2020年3月14日 9時) (レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
Rion - とても、楽しく読ませて頂いております！！読んでいて、1部誤字と思われる箇所を発見いたしましたのでお節介かもしれませんがお伝えさせていただきます。 (2020年3月14日 9時) (レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2020年2月23日 2時
