ねじれの位置が48つ ページ2
小細工はいらない。お前を殺して俺の強さを証明する。
時は放課後、この教室で勝負だ。
彼はそう言った。驚愕なんて言葉では物足りない。兄弟。堀部イトナは確かにそう言った。片や人間、片やタコが兄弟。姿や遺伝子が見るからに違う彼等は本当に兄弟なのだろうか。
雨で気の校舎が軋む昼休み。
皆があの怪物と堀部イトナを比べている。
コソコソと噂話を広げる様に皆が声を潜めて話していた。
「凄い勢いで甘いモン食ってんな。
甘党な所は殺せんせーとおんなじだ」
「表情が読みずらい所とかな」
前原陽斗と悠馬がそれぞれ口にする。確かに彼等の教卓と机の上には大量の甘いお菓子が置かれていた。2人共、そんな金が何処から湧いて来るのだろうか。
「Aは羨ましそうだな」
「……別に」
悠馬の茶化しに、私はいつも通り率直な感情を述べた。
そして怪物が次に広げたのはグラビア雑誌。
そのあとすぐに、堀部イトナも同じグラビア雑誌を開いた。信憑性が増した、そんな声がする。
「もし本当に兄弟だとして…でも何で殺せんせーは分かってないの？」
茅野カエデが口にした正論に全員が固まる。確かに、姿形よりも先に記憶力が良いあの怪物が覚えていない訳が無いのだ。
「うーん、きっとこうよ」
時は十数年前に遡る。その王国は、敵軍がすぐ側まで迫っていた。
王様は息子2人を守ろうと彼等を先に避難させる。しかし、その時。森へ行く途中の橋で敵軍に追い付かれた。
「先に行けおとうとよ！！
この橋を渡れば逃げ切れる！！」
怪物はそう言った。出来ないと駄々を捏ねる弟に生きろ、と大きな声で命じたのだった。
不破優月が考えた物語は雑過ぎた。弟が人間なのかを問う前に、そんな別れ方をしたなら兄の方だって弟の事を覚えてるだろう。
「で、うちの女王様の考えは？」
片岡メグが此方に目を向けて聞いて来た。
「はぁ？」
意味分かんない。なんで此処で私に振るのだろうか。というより女王様って何。彼女の言葉を気にせず私はお菓子ポーチから箱型のグミを取り出してぶどう味を取って口に入れようとした。
「だぁめ」
何が駄目なんだろうか。後ろから倉橋陽菜乃が抱き着いて来て手に持っていたグミを食べられた。私はわざとらしく溜め息を付く。それから吐き出した分だけ息を吸った。
「そもそも、趣味が同じな兄弟の方が珍しいんじゃないの」
流石は正論クラッシャー。
そんな声が遠くから聞こえた。
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Rion - これからも陰ながら応援し続けさせて頂きます！！ (2020年3月14日 9時) (
レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
Rion_ - ねじれの位置が88つ。のお話のカルマ君のセリフの1部である「気絶する程度の触手は喰らうけど」というセリフが「気絶すふ」になっていました。 (2020年3月14日 9時) (レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
Rion - とても、楽しく読ませて頂いております！！読んでいて、1部誤字と思われる箇所を発見いたしましたのでお節介かもしれませんがお伝えさせていただきます。 (2020年3月14日 9時) (レス) id: 4744658c47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：詩季 | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/sa1son_i25
作成日時：2020年2月23日 2時
