脱力カバディ【灼カバ】 (ページ15)

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サッカー部の監督である竹本は、なぜカバディなんかを…と零しながら、教頭と共に、直々にカバディ部へ説得に向かう。
そして、彼らは扉を隔てて聞こえてきた声に耳を疑った。

「ウソこけーッ！！入ってたべ先っちょが！なっ雨宮！」

「あ、うん」

畦道がほらーっ！と言うと、Aは乾いた笑いを発した。

「フン…押し倒されてたじゃねーか！！」

「立ってなくても入ればいいんだべよ！！
おめぇ、ケツの穴小さ過ぎんべ！！」

「なんだと！？お前こそ指先が入っただけで満足とは男らしくないな！！」

扉の先で行われていることは分かりかねないが、「先っちょ」「押し倒す」「ケツの穴」という単語の羅列は、大きな誤解を生んでしまった。

「まーまー、も一回宵越が攻めヤッてみろよ。」

「…それとも俺たちと握り合うか？」

二人は思考を巡らせ、日を改めますか、と言った。
大事なものと引き換えに、大切な一人の部員が守られる結果となった。

◆

「…そろそろ練習締めるぞー」

外はすっかり、夕空が街の上に拡がっていた。

「はぁッ…や…やっとか…」

宵越は床に座り込み、身体が濡れ雑巾のようにクタクタになりながら、ドリンクを口にする。

「結局二回しか攻撃成功しなかったべ…」

「宵越は一回も成功しなかったねぇ…」

伊達先輩は、タオルで汗を拭いながら、ドンマイと声をかけた。

「攻撃はずっと息吐いてるからキツいでしょ」

宵越はそうだ、と思い出したように井浦に詰め寄った。

「アイツの方がムダに大声出しまくって疲れてるハズなのに攻撃成功してる…なぜだ？
アイツん時だけ手抜いてんじゃねーのか！」

「ハハハ、抜いてないよ。
畦道の場合、「常にムダが多い」からやりづらいんだ」

宵越はその言葉に、顔を顰めると、畦道から声をかけられた。

「ヨイゴシー！！みんなでメシ食い行くべー！！」

彼はワクワクとした様子で、宵越に話しかけたが、宵越はくだらん、とひと蹴りし、バッグを肩に掛け、帰ってしまった。

「ゴメン！俺も部長に連絡しなきゃだから」

加えて、井浦も王城正人に連絡するという口実で、帰っていく。

「つれないねぇ、攻撃(レイダー)組は…」

「おらも最近攻擊練習ばっかすけどつれますよ！」

「畦道はモロ守備(アンティ)タイプだぞ…
井浦さんの事だ。お前に攻撃練習やらせるのにもなんか理由があるんだろ…」

……ええ？いや待て、井浦への信頼度高くないか？