脱力カバディ【灼カバ】 (ページ14)

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02話：無駄ページ14

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「うーし！！また攻撃阻止！」

宵越がこの部活に籍を置き、二日目となった。
否、置かされていると言った方が正しいだろう。

「くそっ…こんなんリンチじゃねーかガチムチども…！！」

宵越は手の甲で、頬を伝う汗を拭った。

「井浦さん、守備もやらしてあげたらー？」

「あー…俺は守備もやったらって言ったんだけどね…」

井浦がそう言うと、宵越は息を整えながら、守備はお断りだと、忌々しく三人を睨んだ。
カバディの攻撃は、アメフトやラグビーのように、大人数からタックルを狙われる。

それでも彼には、守備をやりたくない理由があった。

「よーし。んじゃ守備もう一本！！」

伊達先輩はおうと返事をし、横二人の手首を掴む。
そう、宵越の守備をやりたくない理由とは、この、手を握るという行為があるからだ。

「何？握るの抵抗あんの？」

「ゴツゴツしてカタいけど、握ればすぐ慣れるぞ」

「主語を使え主語を！！」

宵越はそう声を上げて、二人を交互に指差した。

「手繋ぎ…通称『チェーン』はカバディの守備じゃ常識のだぞ。
カバディは『個』攻撃に対し『郡』の守備。
狭いコート内で一人身軽な攻撃手を捉えるには…道を塞いだり取り込んだりするための鎖が必要なんだ」

その言葉に、宵越はふんっと鼻を鳴らすと、陣地を分ける白線を踏み越した。
カバディとキャントをし、彼は水澄先輩に標的を定め走り出す。

しかし、手を伸ばす宵越の腰を、井浦が低い位置から掴みに行った。彼が井浦に気を取られている隙に、水澄先輩と伊達先輩が宵越に飛びかかる。

そして、その直後、体育館内にどおんと重たい音が響いた。

「クク…軽いなりに足止めくらいは出来るって事だ」

井浦は宵越を仕留めた二人の後ろで、笑いながらそう言った。

さて、次は畦道がレイダーだ。
線を越えると、彼はカバディ、と大きな声を上げ駆け出した。
距離を一気に詰め、腕を振りかぶると、先程、宵越が触れられなかった水澄先輩に容易く触れてしまった。

「ストラグル入った！！」

三人は直ぐに畦道を返すまいと追いかけ、井浦と水澄先輩は畦道の体にしがみつくが、畦道は自陣に向かって倒れ込み、指の先がギリギリ、白線を超えた。

「おっしゃ二点ーッ！！」

畦道は宵越に、見てたか！と聞くが、宵越は目にゴミが…とわかりやすい嘘をついた。

◆

「ここですね……旧体育館、『カバディ部』…」

そして、扉の前には二人の教師の影があった。