隣の家の降谷さん2nd 【 降谷零 】

第七十一話 ページ33

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｢……わ、あっちのあれも見たことあるし…こっちも！！｣


中に入ればごった返す人と沢山の展示品。
360度どこを向いても見たことのあるようなものばかり。


目をキラキラと輝かせていると｢ぶつかりますよ。｣と優しく沖矢さんが腕を引いてくれた。



｢大はしゃぎする気持ちも分かりますが博物館なのでくれぐれもお静かにね。｣

｢うっ、は、はーい。｣


子供みたいなとこ見せちゃったかな、恥ずかし。
羞恥から下を向いているとその腕を引いていた手が指先に触れてぐい、と引っ張られた。


｢早く行きますよ。｣

｢え…あ、は、はい！｣


しどろもどろになりながらも展示品一つ一つを丁寧に見ていき、胸の内が熱くなるのを感じる。

どれもこれも作品で見た事のあるものばかり。
沖矢さんには敵わないにしても私も結構なシャーロック・ホームズファンだ。


繋いだ手の温もりを忘れ、興奮冷めきらぬ思いでついつい展示品に魅入ってしまった。



｢楽しかったですね〜！｣

｢まさかAさんがあんなに魅入るとは思ってませんでした。｣

｢何ですか、それ。私好きって言ったのに。｣

｢すみません。｣


膨れっ面を向け、頬をふくらませていると苦笑した沖矢さんの手が頭の上に乗っかる。

博物館の証明故だろうか、キラキラと輝いたそれは沖矢さんの表情を何故かかっこよく彩っていた。



｢博物館っていつ来ても人が多いですよね。｣

｢確かに…平日に来ても休日に来ても人がわんさかってイメージがあります。｣

｢人が多いと色々なものが紛れ込みやすいですから…注意しなくてはいけませんね。すみません、少しだけ用事があるのでここで待っていてくれますか？｣

｢わかりました！あそこのソファで座って待ってますね。｣




ちょこんとソファに腰掛けるとキョロキョロ辺りを見渡す。

休日だからか家族連れが多く、キラキラと輝く子供たちの顔を見て薄らと笑みを浮かべた。





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