隣の家の降谷さん2nd 【 降谷零 】

第五十六話 ページ17

.



｢ちょっと、A！！｣



今日も今日とて大嫌いな民法の授業が終わり身を起こす。民法の数の多さには本当にド肝抜かれるよ。


一人今日のノートを見返し溜息を吐き出せば数少ない法学部の女子に声を掛けられ眠気を抑えながらも振り返る。

｢だっさい顔。｣と笑われると頬を膨らませながら胸に教材を抱え込んで立ち上がった。
何か用があって声をかけてきたであろう友人は私の後ろに付いてきながらおずおずと言った雰囲気で口を開く。



｢あのね、合コンの人が足りてなく……｣

｢行きません。この間も断ったじゃん！｣

｢ですよね…。で、でも今回はすっごくエリートさんたちと合コンでね？文学部の子達と…｣

｢もう、だから行かないよって！｣

｢意地悪。｣

｢なんとでも言ってくださーい。｣

｢じゃあ、あの(･･)内緒ばらしちゃうよ…？｣

｢そ、そっちこそ意地悪！！｣

｢へへーん、弱みは握っておくが勝ちなのだ！これを武器に取られたら何も言い返せまい！ほら、合コン行くよー！｣

｢仕方ないな…今回だけだからね？｣



やったーとガッツポーズをして先に出ていく友人の姿を見て溜息を吐き出す。
未来司法関係に就職する人間のする事なのだろうか…？

あまり好まない合コン独特の空気を想起しては心底面倒な感情を抱きやや苦笑いでその後を付いていく。



｢ちゃんと相手の情報とか分かってるんだよね？｣

｢え？……あ、あぁ、う、うん！｣


明らかに目が泳いでる友人の重く溜息を吐き、そしてジト目で彼女を見つめた。

その目線に耐えかねたのか目を逸らし｢ごめんなさい。｣と小さく言葉を漏らす友人に更に溜息を吐き出しそうになる。



｢変な人に襲われても知らないからね。｣

｢偶に見せつけてくるそのツンデレまじでA可愛い。｣

｢調子に乗らない！｣





その後、大学内でも結構仲良しな人達と集まっては変に着飾ってる皆が可笑しくて、くすくす笑みを零しながら合コン会場へと足を運んだ。





.

第五十七話→←第五十五話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す