楽屋で君に -叶えられない想い-【うらたぬき】

42話 ページ44

ピーンポーン

翌日、インターフォンが鳴り響く。

『あ、志麻さん来た。』

ガチャ

志「…今日はありがとうな。Aちゃん。」

『いやいや、頼ってもらえて嬉しいよ。』

にしても、神聖な志麻さんを私なんかの部屋に上げて良かったのかって思う。

まぁ、良かったから来てるんだけど。

『あ、上がって下さい。』

志「うん、お邪魔します。」

『…お茶、要ります？』

志「うん、お願いするな。」

お茶お茶っと…

志麻さんと私のお茶を淹れてきて、

本題に持ち込むことにした。

『あの、お話って桃のことなんですか？』

志「え、何で分かったん？」

いや、他に何がある？

『え、逆に他に何かあるんですか？』

志「……無い。」

やっぱり(笑)

『…さて、話を戻しますが。
…もう一度聞きます、桃のことですよね？』

志「…おん。…俺な、桃ちゃんのことが好きやってん。なんでか分からん、
見た目も俺好みやなかったし…
でも、何故か惹かれていったんや。」

ふむ。

志「…やけど、彼女はセンラーやって、
まぁ、その時からもう半分諦めてたんやろなぁ。それで、この前二人が付き合うってお知らせ。
…お似合いやなって悔しいけど思った。
俺なんか叶わんなぁって思った。」

『…志麻さんは、どうしたいんですか？』

志「…俺は、二人を応援したい。
でも、好きっていう気持ちがまだ消せないんや…」

愛されてるなぁ、桃。

良かったね。

『…消せなくて、良いじゃないですか。
何も無理矢理消せだなんてそんなこと誰にも出来ませんよ。
応援したいなら、志麻さんのやり方で、
偽りのない気持ちで応援すれば良いじゃないですか。』

志「……そうやな。ありがとう、Aちゃん。…Aちゃんは、どうなん？」

…私？私のこと？えぇ…

志「好きな人とか…おらんの？」


好きな人、かぁ…


ふと、うらたさんの顔が思い浮かんだ。


『…居るには居ますよ。でも、叶えられないと決まってる恋なので…』

志「…誰がそう決めたん？」

…え？

『…私がっていうのもありますけど、
周りの今までの対応、ですかね。』

志「…えっと…誰か、聞いてもええ？」

あ…まぁ、志麻さんも話聞かせてもらったし、良いよね…うん。

『…はい、良いですよ。』

志「良いん？」

『いや、志麻さんから頼んできたんじゃないですか。
…私の好きな人は、…うらたさん、です。』

志「…あぁ、うらたさんか。
Aちゃんは、うらたさんともしも
付き合うことになったとき、
センラさん達みたいに批判されるのが怖いん？」

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