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「降谷さ...」
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突然のことでどんな顔をしていいのかわからないでいたら
一歩も動けないでいる身体を包み込むように抱きしめられた。
彼の背後で、ドアが音を立てて閉まる。
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「会いたかった」
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再び紡がれたその言葉に、じわりと涙が浮かぶ。
そう...会いたくてたまらなかった。
私も、って返す代わりに...その背中にぎゅってしがみついた。
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「コ、コーヒーでも淹れますね！」
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土曜日だというのにスーツ姿ということは
仕事を終えて本当にそのままここへ来てくれたのだろう。
お湯を沸かしながら、降谷さんを盗み見れば
ローテーブルの前に胡坐をかいて座っている。
半年前よりも少しだけ痩せたかもしれない。
出来るだけ平静を装いながら、冷蔵庫からミルクを取り出した。
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「あの、ミルクは...」
「少しだけ」
「わかりました」
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降谷さんも、ミルクを入れたりするんだ。
新しい一面を知れたうれしさを隠さずに
二つのマグカップを手に、降谷さんの元へ向かった。
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「どうぞっ」
「ありがとう」
「仕事は大丈夫なんですか」
「明日からまた出勤だけど、ようやく一段落ってところかな」
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少しは休めと二日間の休暇をもらったと笑う彼。
その時間を迷わず私に使おうと考えてくれた事実に
どうしようもなく胸が締め付けられる。
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「君の方は？楽しんでるか？」
「はい、色々と新鮮で...」
「友達はできたか？」
「はい！」
「女友達だけ？」
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バッて降谷さんの方を見たら
彼の視線はマグカップの中に落とされていて
前髪に隠れた表情はよく見えない。
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「男の子もいますけど......私、降谷さん一筋なので！！」
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降谷さんはふはって吹き出して
変わらないなって私の頭を撫でた。
その手つきに少しの乱暴さを見つけて、またうれしくなる。
だけど降谷さんが腕時計を確認するから
あ、帰っちゃうのかなって思ってたら
そんな私を見透かすみたいに違う違うって首を振った。
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「少し出かけよう」
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夜までに戻れば平気だろってカフェオレを飲み干して
何も持たなくていいから戸締りだけ確認しておいでって
車のキーを私の顔の前で揺らした。
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名無し98724号(プロフ) - 本当にキュンときました…素敵な小説すぎて一気読みしました。他のお話もですが、書き方がとってもお上手で尊敬しております!少しお聞きしたいのですが、BTという小説を読まれたことはございますか…?(急に失礼ですよね、すみません)素敵なお話ありがとうございました！ (2020年3月29日 3時) (
レス) id: f858c9eb21 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - さちさん» さちさん、ありがとうございます！新作も引き続きよろしくお願いします！ (2019年1月31日 11時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
さち - 初めから最後まで一気に読んでしまいました。素敵でした。新作も楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年1月31日 9時) (レス) id: ae1bab64f5 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 深月さん» 深月さん、ありがとうございます！私自身、無事に完結してホッとしています笑 (2019年1月28日 16時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - すごく素敵なお話でした…！大好きです！ (2019年1月26日 13時) (レス) id: a93ea5789b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももこ
| 作成日時：2018年12月27日 15時
