【名探偵コナン】恋する気持ちは花が散っても2【降谷零】

24．おかえり ページ24

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『皆様、当機はまもなく着陸態勢に入ります。

シートベルトを今一度ご確認ください』



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照明の落ちた静かな機内に流れるアナウンス。



小さな窓の外はまだ、真っ白な雲の海。



待ち望んだ日がやっと来たはずなのに。



雲を抜けた先に懐かしい航空写真みたいな日本の姿が見えても



胸の中の雲は晴れないけど



私の思考を遮るように音を立てた機体は大きく揺れて。



シートから浮き上がるように、重力に身を委ねる。



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あれから、会うのはおろか手紙の一通すらなかった。



待ち望んだ日が来て、六千七百マイルの距離を縮めても



待ち望んだ人との距離は



どれだけ離れてるのかすらわからないほど遠い。



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花びらが散っていくのを見ては、涙を堪えて。



自分がなにをしてたのか、もう覚えてもいない。



会いたい気持ちを、会えない悲しさを押し殺すように



一日中狂ったように花ばっかりやって過ごした。



何かから逃げるように花に没頭する私を



野村さんは優しく見守ってくれて



姉は遠い日本からアドバイスやフォローをしてくれて



エマはいつも、そばで笑ってくれた。



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『皆様、当機は無事羽成空港に着陸致しました。

シートベルトサインが消えるまでそのままでお待ちください』



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CAさんの穏やかな声に、身体が勝手にびくっと震えた。



ニューヨークを発つ時はちゃんと心に誓ってたのに。



一人で立っていられる自分になって。



彼のいない人生でも、しっかり歩いて行ける自分になって。



私を待ち受ける未来が、どんなものでも受け入れるって。



そう、誓ったのに。



窓の外の景色が近づけば近づくほど。



この飛行機を降りた先の、最悪の結末を想像したら



どうしようもなく...怖くなる。



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「...弱虫」



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シートベルトサインの消える、軽い音と同時に



一斉に立ち上がる乗客に紛れて



シートに座り込んだまま、小さく呟いた。




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